内容説明
集題はラテン語の「灰」。往還の多き暮らし、喧噪から静寂へ。軽やかに、時に激しく、日日の濃淡の断片を切り取った重層的な作品世界。
目次
2014‐2015年(さざなみ;百葉箱;水無瀬;Musth;鳥目;火;田子の浦;マルタとマリヤ;姫島;楊柳;くらだに;柵;泥のなか;真鑑の板絵;荷;莨火)
2016年(緊箍児;老コミュニスト;デヴヌル;ヤガタアリグモ;かの冬の日の;孝子峠;射爆場跡地;龜と竃;グラウンド・ゼロ;義仲寺;氷;水面;円環)
2017年(伝来;金眼銀眼;白板;かきかぞふ;花の木;みとさぎ;八木アンテナ;瑠璃鐫花娘子蜂;鋳鉄管;孤狼;女鳥羽川;半睡;第五輪荷重)
2018年(暗渠;描線;薄氷;ひかり;中之島;渋谷区神南;微小気塊;鏡石;頭上注意;伐採;走錨;秋の伽藍;みづたまり;翼端)
感想・レビュー
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門哉 彗遙
5
七首選びました。▼ ゐさらひのひゆるここちにさんざめく女子高校生のなかをぬけたり▼ 彼岸中日ゆらゆらとしてゆきかえるひとかげは生者のみにもあらず▼ 小さき旗手に手に振るふなかにゐてこの星のひとにつひになり得ず▼ みぎへきがんひだりこんじきの眼をもてるはちわれねこよまさきくをあれ▼ かきかぞふふたつちちふさとほからずそとのせかいはあかるくならむ▼ つややかなマルーン塗色の電車でんしや十三までをならんではしる▼ 落葉だまりに鼻ちかづけてをりたるがつまらなさそうに踏み越えてゆく▼ 2025/06/09