目次
1(ハウスダスト;無音の声;乳白色の渦 ほか)
2(多島形;橋杭岩まで;夜の記憶 ほか)
3(明るい風景;永遠の海岸;草、草、草! ほか)
著者等紹介
福田拓也[フクダタクヤ]
1963年、東京都に生まれる。詩人、文芸評論家。慶應義塾大学博士課程中退、パリ第八大学大学院博士課程修了。文学博士(パリ第八大学)。専攻、二〇世紀フランス詩。1994年に第三二回現代詩手帖賞、2018年に第五六回歴程賞受賞。現在、東洋大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Moeko Matsuda
6
なんでだろう…太古を感じる。帯も解説も一緒くたに入れ込んだかのような、混沌とした、しかし真っ白な表紙。浮かび上がるタイトルはところどころが暗い赤色で、生肉の裂け目を想像させる。続くサイケデリックな印象を蛍光グリーンの遊び紙をめくると、衝撃的な詩作品が姿を表す。不気味なあて字のせいなのか、所々が二重音声に聴こえてくる。夜の底、あるいは黄泉の底を覗き込むような、背筋がしんとするような感覚がある。目が離せない。一気に読み切ってしまった。赤々と燃える炎と、暗く静かな海がいつまでも消えない。また読む。間違いなく。2022/05/08
warimachi
3
ただ不快。保坂先生が推してらっしゃるんだからきっと良いものなんでしょうけど、僕にはサッパリ理解できませんでした。2022/07/02
急性人間病
1
疑似万葉仮名と暴走族風の混淆的な当て字の多用に、これを悪趣味と断ずべきかどうか…と思っていると「裸」「死」「血」がたびたび描写される(遺体としての)裸体や火葬、かつてマグマだったものと結びつき、漢字と平仮名の主従が狂いだし、一人称が「ぼく」と「慕苦」の間でゆらぎを生みはじめる。それもおもしろいが、後半になって「ぼく」の感覚・存在が消失しだすと同時に、「きみ」が現れはじめることも興味深い。「きみ」は「ぼく」の代行として見る者だったり、その一方でやはり誰にも見られることのない者だったりする。2023/02/24