内容説明
少女の目の前で野生の動物が殺される、餓死する、弱肉強食を繰り広げる…。同世代の女子にときめき反発し、大人とぶつかり、ひとり空想に遊ぶ日々の中で自分らしさを失わず成長していくヒロインの心の内を描いて20世紀はじめのロシア文学に新風を吹き込んだ自伝的小説と、二人の女性の愛の行方を日記でつづりロシア初のレスビアニズム文学と称された短篇。一世紀の黙殺をこえて女性作家の作品がいま現代文学としてまばゆい光を放つ。
著者等紹介
ジノヴィエワ=アンニバル,リジヤ[ジノヴィエワアンニバル,リジヤ] [Zinov’eva‐Annibal,Lidiia]
本名リジヤ・ドミートリエヴナ・ジノヴィエワ。1866~1907。ペテルブルクの名門貴族の家庭に生まれる。大学講師で社会活動家でもあった家庭教師の影響を受け、18歳で家を出て結婚するが数年後に離婚。三人の子とヨーロッパを転々とするなか、象徴派の詩人・哲学者として指導的な役割をはたすことになるヴャチェスラフ・イワーノフとローマで出会い結婚。1905年に帰国し、ペテルブルクの円塔のある建物に居を構えた。夫妻が毎週開いた“塔の会”は“銀の時代”と呼ばれるロシア文化の爛熟期を担う芸術家や哲学者が多く集まるサロンになった。リジヤもプーシキンの先祖と繋がる母方の祖母の旧姓ガンニバルをペンネームに取り入れて戯曲・小説・評論など魅惑的な創作を発表した。1907年に友人の領地で休養中に猩紅病で苦しむ農村の子どもたちの看護に協力して自らも罹患、41歳で他界
田辺佐保子[タナベサホコ]
ロシア文学研究・翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。