内容説明
『日本の工学教育のソフト資源を結集した最先端の科学技術大学を協働で創設したい』―エジプト政府のたっての申し入れに日本政府は困惑した。途上国の大学を支援した実績はあるが、一つの大学を白紙から協働で設立した経験などほとんどない。広大な砂漠でのキャンパス建設、インターネットも使えぬ研究環境、学長をめぐる不正資金疑惑、そしてアラブの春…。開校後も幾多の試練に見舞われた。今やアフリカ有数の総合大学に成長しつつあるエジプト・日本科学技術大学(E‐JUST)。これまで語られることのなかったプロジェクトの裏側を、JICA専門家が回想する。
目次
第1章 エジプトに日本の大学を(構想期/2003年~2008年)
第2章 E‐JUSTの誕生(設立期/2008年~2010年)
第3章 開校と深まる溝(成長期/2010年~2012年)
第4章 アラブの春と大学崩壊の危機(混乱期/2011年~2013年)
第5章 新生E‐JUSTの基盤形成(再生期/2014年~2016年)
第6章 総合大学としての発展(拡大期/2016年~2017年)
第7章 エジプトが誇る科学技術大学に(現在地/2017年~2018年)
著者等紹介
岡野貴誠[オカノタカセイ]
国際協力機構(JICA)専門家。経歴:大学卒業後、2000年に青年海外協力隊(視聴覚教育)に参加、ブルキナファソ国に派遣。2006年より国際協力機構(JICA)人間開発部にJr.専門員として所属、主に高等教育および情報通信分野の業務に従事。ハノイ工科大学ITSSプロジェクト(ベトナム)、トゥンバ高等技術専門学校設立プロジェクト(ルワンダ)への赴任を経て、2008~2017年にエジプト・日本科学技術大学設立プロジェクト(エジプト)に従事。2018年よりマレーシア日本国際工科院プロジェクト(マレーシア)に着任。学位:早稲田大学大学院人間科学研究科修了。Ph.D.(人間科学)。専門:教育工学、遠隔教育、工学教育(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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