内容説明
私はおそらく多くの人がもつ家族観をもっていない。おそらくこれからももつことはできない。小説やドラマに出てくるような家族像は、私にとっては小説やドラマのなかの話だ。ほんのわずかな記憶から血縁への強い憧れはあるのに、それが自分ではうまくつくれないことにいつも不甲斐なさを感じている。
目次
昼間に風呂に入る
家族
生きる力が湧いてくる
酔う
大切なあなた
祝祭の日々
USO かわいいあの子
優しい兄
テニスが下手な女の子
夜、空を見上げる
USO Nの起源
USO 見えないアングル
正月嫌い
朝、虎ノ門で仕事を終える
遠くに住んでいるあの子
自由の証
今日も吉祥寺のルノアールで
太く、長く、濃く
しあわせの、となりにあるもの
それよりぼくと踊りませんか
発声のすばらしさ
中華料理とお節介
居場所をくれてありがとう
物語のはじまりには、ちょうどいいのさ
あなたと私のあいだにあるもの
USO Nのお葬式
著者等紹介
野口理恵[ノグチリエ]
1981年、埼玉県熊谷市生まれ。文芸誌「USO」編集長。rnpressの編集者として書籍を制作する傍らで、文筆活動を行う。健康体(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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林檎
9
幼少の頃から身近な人間達の剥き出しの姿を見て育ち、人の死や別れが常に側にあった著者のこれまでの人生が書かれている。それでも読んでいて打ちのめされるような絶望感ではなく『良いも悪いもまんま丸ごと全部受け入れて生きていく潔い覚悟』が感じられて、生きる事を考えさせられような不思議な感覚は『生きる力が湧いてくる』というタイトルに繋がるのかもしれない。2025/05/17
nekomurice
7
「私は、いつ、どこにいても、なにを食べていても、私ばかりがこんなにいい思いをしていいのかなあと考える。」大切な人にこんな思いをさせてはいけないなと。しっかり生きていかなくてはと思わされる。エッセイの間にある「USOかわいいあの子」のお話がとても辛い。2025/06/10
lyrical_otoca
4
読みやすい文体に反して劇薬のような内容だった。私も一人で生きてる方が楽なタイプなので割と共感するところも多かったけど、それと同じくらい正直なんかわからないけど怖いなとは思った。私は親関係はかなり恵まれてる部類だから私が共感するのは、著者に嫌がられそうな気もしている。何か物凄く人間の生き様が描かれている。文体はフラットでかなり読みやすいのに内容はいい意味できつさがあった。2025/05/17
さがわ
3
本当のことみたいなUSOと、USOと書かれていないエッセイの垣根がなく、緊張感があった。 ・追いラミナリア ・バスの揺れ方で人生の意味がわかる ・舐められ誘い ・ショーペンハウアー 同情mitleid ・人生は撹乱要素があったほうが楽しい ・天涯孤独でマジ悲しい2025/05/18
AppleSugar
3
随筆・批評を集めた新規刊行された雑誌、随風に乗っていた著者のエッセイを読んで、機械書房で購入。 そのエッセイも含む30あまりの作品に、たまに他者視点のUSOエッセイが混ざる。 そのお互いが絡み合って、野口理恵さんの、他人から見たら悲劇的な人生が、どっこい生きているという話に回収されない、強かでクスリと笑えるさえする物語へ昇華されていくのだ。 群ようこ、西原理恵子、に連なる令和のエッセイクイーンの誕生を目撃した気分だった。(著者本人は喜ばないかもしれないけど)2025/05/17