内容説明
私はおそらく多くの人がもつ家族観をもっていない。おそらくこれからももつことはできない。小説やドラマに出てくるような家族像は、私にとっては小説やドラマのなかの話だ。ほんのわずかな記憶から血縁への強い憧れはあるのに、それが自分ではうまくつくれないことにいつも不甲斐なさを感じている。
目次
昼間に風呂に入る
家族
生きる力が湧いてくる
酔う
大切なあなた
祝祭の日々
USO かわいいあの子
優しい兄
テニスが下手な女の子
夜、空を見上げる
USO Nの起源
USO 見えないアングル
正月嫌い
朝、虎ノ門で仕事を終える
遠くに住んでいるあの子
自由の証
今日も吉祥寺のルノアールで
太く、長く、濃く
しあわせの、となりにあるもの
それよりぼくと踊りませんか
発声のすばらしさ
中華料理とお節介
居場所をくれてありがとう
物語のはじまりには、ちょうどいいのさ
あなたと私のあいだにあるもの
USO Nのお葬式
著者等紹介
野口理恵[ノグチリエ]
1981年、埼玉県熊谷市生まれ。文芸誌「USO」編集長。rnpressの編集者として書籍を制作する傍らで、文筆活動を行う。健康体(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみのすけ
20
心の柔らかい部分をグッと掴まれたような痛みが、読後も残るエッセイ。久しぶりにガツンと心が揺さぶられた。母親と兄を自死で、父親は病で亡くしている著者。子供の頃から両親が激しい喧嘩を繰り返し、家に安らげる居場所がなかったこと。母親を亡くした日のこと。その後の人生への影響。普通に生活していても、ちょっとした出来事から自分の複雑な境遇が心を縛り、苦しくなってしまう様子に読んでいて、辛くなった。でも、その後の様々なよき出会により、生き続けている著者。人生を積み重ね、普通を作り上げていく姿に力をもらった。2026/02/11
Kanako
13
すごく力のあるエッセイだった。冒頭の温かい家族の思い出を描いた文章から一転、著者の家族に起こった悲しくて重い出来事が描かれる。著者の人生が壮絶であることは間違いないが、それでいて、パワーもおかしみも切なさもあって、読んでいると不思議と癒される。人間のダメなところやでこぼこな部分をそのままに描いていて、きれいにまとめようとせず、清濁併せ飲んで生きていこうという足取りが感じられる文章だった。2025/11/15
林檎
9
幼少の頃から身近な人間達の剥き出しの姿を見て育ち、人の死や別れが常に側にあった著者のこれまでの人生が書かれている。それでも読んでいて打ちのめされるような絶望感ではなく『良いも悪いもまんま丸ごと全部受け入れて生きていく潔い覚悟』が感じられて、生きる事を考えさせられような不思議な感覚は『生きる力が湧いてくる』というタイトルに繋がるのかもしれない。2025/05/17
nekomurice
8
「私は、いつ、どこにいても、なにを食べていても、私ばかりがこんなにいい思いをしていいのかなあと考える。」大切な人にこんな思いをさせてはいけないなと。しっかり生きていかなくてはと思わされる。エッセイの間にある「USOかわいいあの子」のお話がとても辛い。2025/06/10
niki
6
自殺なんてするもんじゃないな、と心から感じた。筆者の母と兄は自殺している。残された筆者の一生逃れられない苦しみ。寂しさ。 怒ると物を投げ、目の周りの毛細血管が切れて赤くなる激情型の筆者。好きな仕事をし人生を謳歌している。自分との共通点がなくさらーっと読み流した部分もあったけれど、「自殺するようなやつらは想像力が足りていない大馬鹿者だ」の言葉には同意。だけど追い込まれた人間は想像する力なんて残っていないのだろうな。「世の中には生きていれば味わえることがたくさんある」そうだよね。2025/12/18
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