内容説明
リチャード・ブローティガン(『アメリカの鱒釣り』『西瓜糖の日々』)、新訳詩集。
著者等紹介
ブローティガン,リチャード[ブローティガン,リチャード] [Brautigan,Richard]
作家、詩人。1935年、ワシントン州タコマ生まれ。56年、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグらビート・ジェネレーションの集うサンフランシスコへ。67年に小説『アメリカの鱒釣り』を刊行、世界的ベストセラーとなる。主な著作に『西瓜糖の日々』『ビッグ・サーの南軍将軍』など。風変わりで諧謔に富んだ作風は世界中の若者たちの想像力をかき立てた。84年、ピストル自殺
中上哲夫[ナカガミテツオ]
詩人。1939年、大阪生まれ。60年代、ビート・ジェネレーションの影響下に詩を書き始める。疾走感あふれる詩を書いて、“路上派”と呼ばれた。詩集に『スウェーデン美人の金髪が緑色になる理由』(横浜詩人会賞)、『アイオワ冬物語』、『エルヴィスが死んだ日の夜』(高見順賞・丸山豊現代詩賞)、『ジャズ・エイジ』(詩歌文学館賞)、現代詩文庫『中上哲夫詩集』、『川の名前、その他の詩篇』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y2K☮
33
山陽堂書店で衝動買い。ブローティガンの詩集だから同時代のギンズバーグみたいな叫ぶ系の長広舌を予想していた。むしろジョン・レノンのホールド・オンやラヴなどに近い。訳者あとがきを読んで納得。おそらく一般的な欧米の詩とは異なり押韻やリズムを重視しているわけではないので、外国語に訳すことで削ぎ落とされるものが少ない気がする(むしろ日本語が最適とすら感じた)。ヘミングウェイ的な世界観、力強いマッチョイズムを否定はしない。でもその大きな網からは漏れがちな微かな声を掬い上げるこういう作品の方が詩を欲する魂に響くのでは。2023/04/19
サンタマリア
33
ささやき声で優しい人間になる方法があるなら教えてくれ。この糞みたいな声で。『軍馬』『1/忘れられた事物の曲線(カーヴ)』が良かったな。2023/03/12
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
32
タイトルと表紙絵に惹かれて。アメリカ人作家であるリチャード・ブローティガンの新訳詩集。短い詩だがすべて独特の感性で全く分からず、私にはピンとこなかった。2023/12/06
元気
30
好きな詩→「ぼくは心をこめてこんにちはといった、だけど彼女はもっと心をこめてさようならといったのさ」「恐怖からきみは一人ぼっちになるだろう、きみはいろんなことをする、だけどどれもぜんぜんきみらしくない」「ここに素敵なものがある。きみがほしがるようなものはぼくにはほとんど残っていない。それはきみの掌のなかで初めて色づく。それはきみがふれることで初めて形となる」2023/05/30
ykshzk(虎猫図案房)
21
あとがきによると、アメリカは詩人が住みやすい国ではないらしい。なんだかんだやはりマッチョの地位が高いので、その枠から外れがちな詩人は肩身が狭いようだ。シュールな短い詩も、ちょっと英米の詩の傾向とは違ったらしい。でも日本とフランスでは、本国でのブームが去っても彼の本の出版は続いたようだ。日本に移り住んでいたら自ら命を絶たずに済んだかもと思ってしまう。表題の詩も良かったけど、心に残った詩はこれ「恐怖からきみは一人ぼっちになるだろう、きみはいろんなことをする、だけどどれもぜんぜんきみらしくない」。2025/04/05