内容説明
外山恒一(とやま・こういち)一九七〇年、鹿児島県生。革命家。前科三犯。一度も就職せず、街頭ライブを主な生業としながら「政府転覆」を掲げ、民主主義を否定し、齢は五〇を過ぎた―。どれだけ打ちのめされ、敗れ続けても、決して諦めない革命家の軌跡。
目次
「革命家」の母
西南学院中学
管理教育
転校、またも管理教育
いじめ
新党結成
高校退学宣言
作家デビュー
DPクラブ
全国高校生会議〔ほか〕
著者等紹介
藤原賢吾[フジワラケンゴ]
1979年、鹿児島市生まれ。東京理科大学理学部卒。無料地域情報紙を発行するタウンニュース社で記者兼広告営業職を務め、2008年に西日本新聞社入社。文化部、編集センターなどを経て大分県の日田支局記者。本書は初の著書(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nishiyan
10
革命家・外山恒一の半生を描いた評伝。外山自身が所蔵するビラなどの貴重な資料が使われている。生い立ちから「反管理教育」で始まる前半と暴行事件を境にしたファシスト転向以後から現在までの後半では著者の筆致が変化し、外山への共感と戸惑いが随所に見受けられた。前半は恐らく著者自身が同郷で九州の学校特有の息苦しさの経験者だから冷静な記述になったのだろう。後半は外山の運動と思想が洗練されただけでなく、彼の真面目さと不真面目さを理解しようと熱を帯びてきたように感じるのだ。読み手にもその共感と迷いが伝わる良書である。2023/04/06
道楽モン
7
闘うファシスト外山恒一の現在に至るまでの足跡を綴った半生記。活動家個人としての並外れたポテンシャルを持ちつつも、運動組織を構築できない不器用さが同居している事が、人民の立場からすれば悲劇としか思えない。孤立無援ながら、まったくメゲない強靭な精神は、国家権力に牙を剥け続けている。高校時代に反管理教育からスタートした彼の闘争は、様々な知識と経験を積み上げて、アナキズムからファシズムに至る。まったくブレない孤高の闘士に向ける笠井潔の眼差しが温かい。取材対象に流されない筆者のスタンスは新聞記者ならではだ。2023/01/28
たかひろ
5
外山恒一『政治活動入門』を最高に面白いと書いた。それは最高に知的好奇心を満たしてくれたという意味で面白かったのであるが、こちらは読みながら何度も爆笑してしまうという意味で最高に面白かった🤣52歳の時点で伝記を書かれるほどの奇人はそうは居ない。あまりにも規格外すぎて笑うしかない。現代屈指の奇人伝。私的2023年のベスト本。2023/05/20
辻井凌|つじー
2
外山恒一の半生を新聞記者が追った評伝。管理教育のある種被害者から「嫌われ者」や「キワモノ」を経て、一理ある活動家へと脱皮して現在に至る様を対象に入れ込みつつも、あくまで客観的な筆でダイナミックに書いている。後半に進むにつれて盛り上がっていく印象。2023/02/19
ホリエッティ
1
ラ・サール中学に受かった世界線の外山恒一を想像せずにはいられない。2023/07/20