内容説明
堀内誠一、パリに住む。偉才のアートディレクターであり絵本作家の父との思い出を長女が綴る初エッセイ。安野光雅、澁澤龍彦、石井桃子、瀬田貞二らとの交流秘話も明かされる。直筆の手紙、旅先での絵、手描きポスターなど多数収録。
目次
パリ到着
学校がはじまる
恐怖のカテシズム
給食の時間
父が居る家
苦手なお使い
マルボロの思い出
父はマンガ好き
父は映画好き
家族で観た映画
別世界の高校生活
そして放課後
「音」が好き
旅がはじまる
パリのお客様
家族同行の取材旅行
安野さんの来訪
瀬田さんに宛てた「カスティリア讃歌」
澁澤さん
奈良原クンなら…〔ほか〕
著者等紹介
堀内花子[ホリウチハナコ]
堀内誠一の長女。1974年から約6年間、家族とともにフランス・パリ郊外で暮らす。メーカー勤務を経て、通訳・翻訳業に従事。堀内事務所代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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アキ
84
堀内誠一氏は、雑誌anan創刊時1970年アートディレクションをされていた方。父のフランス移住に伴い娘の花子は1974年13歳でフランスに行き、大学生になるまでの6年程家族で過ごした。父は1987年54歳で早逝した。安野光雅、澁澤龍彦、谷川俊太郎、岸田衿子などとの交流が娘からの目線で父の残したイラストと共に紹介されています。多感な時期に言葉もわからないままパリ市内の学校生活を送りつらい思いもしたけれど、父と同じ年齢となり子どもへの愛情が理解できるようになったとあります。時を経るといい思い出になりますね。2024/09/15
クラムボン
11
1973年、堀内誠一が42歳の時に、家族4人でパリの郊外に移住する。雑誌やデザインの仕事から一旦離れ、仕事は絵本だけに。著者は当時中学1年生、妹が小学4年生。パリで過ごした中高6年間を、父・堀内誠一の思い出とともに綴る。ユニークな堀内夫妻はお互いを「ソッチ」と呼び合うが、それはお殿様が使う「そち」からとか。フランス移住という願望に巻き込まれた家族、特に暗黒だったと語る中学時代の話が面白い。そして堀内邸を訪れる客の面子が凄い。安野光雅、谷川俊太郎、石井桃子、瀬田貞二、澁澤龍彦、岸田衿子…とても書ききれない。2024/07/25
アヴォカド
10
この父と共にあって10代の6年間をパリ郊外で暮らした筆者。それは特異であり、財産だ。今となっては超のつく有名どころのイラストレーターや詩人や翻訳家などの名も暮らしの中にボンボン出てきて、読んでいて目も眩む。かなり特異な10代の暮らしなので記録には値する。値するけれども、終始、遠い世界だわーという思いが付き纏う。あまりに遠く、あまりに綺羅星の如く煌めいていて、もはや羨ましささえ感じることはない。言葉の選び方がクラシックで上品。こんな言い回しの出来る人は、今はもうなかなかいないだろうな。2024/07/12
タンタン
6
堀内誠一の長女の、家族の思い出。両親と交友のあった人たちの事も書かれている。飾らないとりとめのない文章が、堀内誠一という人とその周辺を優しく描いていて温かい気持ちで読了。2024/05/26