感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんご
51
図書館でお見かけして驚き!2024年、復刻版でえす!過去に読んでトラウマになったのはこのお話だったような気がする。公園で我が物顔で振る舞う月ちゃんと、取り巻き女子たち。シンスケくんはとうとう対決する。諍いは親を巻き込み団地対住宅地の戦争になってしまう。筒井先生の「児童書ですから分かりやすく平易な言葉で書きますよ」っていう配慮と、悪化していく状況がとても心を寒くする。初めて読んだ時は紛れもなく子供の時で、やっぱ「親が死んだら敗戦」だったんだろうなーと改めて思いました。明らかに大人向けの児童書ですヨ。2024/10/29
空猫
34
新刊情報でこの本の復刊を知る。文:筒井康隆、絵:永井豪と言う垂涎モノコラボ。これが児童書!ほしいけれどお値段¥2,970なので迷う。この作品は金の星社、日本文学シリーズで読んだだけ✧◝(⁰▿⁰)◜✧。子供向けなのに容赦ない描写で、ますます本書を読みたくなる。…戦争がきらいな人だって、ときには、シンスケくんのように、かっこいいなどとおもうことがあるくらいなんですからね(p220)うーん買っちゃおうかな。2024/08/22
ムーミン2号
9
本書の最後で筒井康隆氏が「戦争ではみんなが喜ぶような終わり方はない。戦争は起こさない方がいいが、元はと言えば、本当につまらない、ちっぽけなことがきっかけで起こってしまう。加えて戦争が好きな人がいて、どうにも困る。かっこいいな、と思うこともある・・・そういうのが「ほんとうに、こまるんですよ。」」と記されている。それが具体的にお話として作られているが、本の上のこと、などとのんびり構えているわけにはいかない、と思わされるような内容。読めばやっぱり、今の世界情勢が想起されてしまう。2025/01/04
高須力弥
9
講談社青い鳥文庫版の筒井康隆先生の後書きは収録されていないので、未読の方はそちらも是非お読みください。 2024/08/05
KDS
7
幻の傑作絵本が遂に復刻!体裁としては児童向け絵本だが、著者が筒井康隆+永井豪とあってはそんなものあってないようなもの。子供向けだろうと容赦ない。住宅地の月子ちゃんと団地に住むシンノスケくんの子供同士の喧嘩は、両親や友達、さらに三丁目のみんなを巻き込んで住宅地と団地の大戦争に発展する!些細な出来事が日頃の蓄積した鬱憤を爆発させ、歯止めの効かない行為をエスカレートさせていく様は他人事ではすまされないリアルさ。児童書なのにこれはやりすぎだろーなどと言ってはいけない。戦争にハッピーエンドなどありゃしないのだから。2024/08/31