内容説明
『源氏物語』作者は、どのような現実を生きていたのか。確かな研究に導かれた大胆にして繊細な「訳」で、紫式部の心の奥を照らし出す。
目次
1 日記(寛弘五年・一〇〇八年)(原文にはない、語り手の前口上;土御門邸の季節は秋から始まった ほか)
2 日記(寛弘六年・一〇〇九年)(寛弘六年の元日は、凶日だった;宰相の君の人となり ほか)
3 ある人に宛てた手紙(消息文)(日記から遠く離れて;もう一人の「宰相の君」 ほか)
4 日記(寛弘七年・一〇一〇年)(まずは、土御門邸の持仏堂の思い出から;持仏堂に残った人々と、池に舟で漕ぎ出す人々 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
島内先生による紫式部による日記が講義調で収められています。NHKの古典講読を本にしたからでしょう。紫式部本人の生年や死亡年はわかっていないようですが、よくまあ「源氏物語」やこのような日記をものにしたと思います。1008年から1010年の部分ですが訳がかなりこなれていて(注のような部分や式部の心のうちなど)わかりやすくなっています。また原文も声の出して読むようにフリガナがふっています。2024/04/12
はちめ
8
現代語訳の分量がかなり多くなっているのには理由があって、本来なら脚注に置くべきような内容も現代語訳の中に組み込んでいる。その結果、かなり踏み込んだ訳文となっているが、面白みという意味においてはましている。紫式部日記の成立の経緯は分かっていないが、現在読まれているものはいくつかの日記を寄せ集めたもので、これを持って紫式部の意図を読み込むのは難しい。やはり中宮彰子の出産に関する記録は道長あたりからの依頼があって記録したものであり、報告書として提出されたものが別途あったのだろう。でもまあとても面白い。☆☆☆☆☆2022/06/09
ユキタ
3
図書館。紫式部日記初読み。原文に続いて現代語訳文、さらに意味の通りづらい言葉があれば評で補足、と丁寧な仕様になっている。大河ドラマのこのシーンはこの部分から取ったのか、といったことが伺えてとても面白かった。けっこう、吉高由里子の声で再生できた(笑)。2024/09/30
まやま
2
2024年の大河ドラマからの関心で図書館で手に取った。原文、現代語訳、解説の構成が良い。2024/01/28
マナチアキ
0
大河ドラマに触発されて購入。源氏物語は学生時代一通り読んだし、あさきゆめみしも読みましたが作者自体が日記を書いていたのは知りませんでした。1000以上前のやんごとない方々の生活を読めるのはすごいことだなと思います。 読みやすかったです。2024/09/16