内容説明
文化は貴族の独占物ではなくなった―武者の世の輝きと危うさを見渡す。文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交じえた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。将門記・陸奥話記・後三年記・保元物語・平治物語・承久記。
目次
1 東国の疾風 将門記・陸奥話記・後三年記(東国の武士たちと軍記;『将門記』を拓く;『陸奥話記』冒頭考―『今昔物語集』を視座として;時代社会を映す鏡としての『後三年記』―王朝国家期の領土広域化現象)
2 王城の合戦 保元物語・平治物語(悪左府頼長の近習たち―『台記』の記述に主拠して;半井本『保元物語』の山田小三郎是行譚を読む;半井本『保元物語』源為朝関連話群と“伝説”の創出;『保元物語』の諸本とその展開・物語の洗練ということ―学習院大学図書館蔵九条家旧蔵本をめぐって;『平治物語』一類本諸本の関係について―源家後日譚を中心に;四類本『平治物語』の生まれた時代―“室町ことば”と“室町ごころ”;『保元物語』『平治物語』における版本の挿絵の展開―流布本本文と絵の照合から;消えた平家郎等)
3 王に勝る果報 承久記(承久の乱と歴史叙述;慈光寺本『承久記』の世界観―嘆きの不在;『遠島御歌合』における後鳥羽院と旧臣たち―出詠歌と歌合の意図をめぐって)
著者等紹介
松尾葦江[マツオアシエ]
1943(昭和18)年神奈川県生まれ。博士(文学)。専門は日本中世文学、特に軍記物語(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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