内容説明
古典の奥の奥までわかる。踏み込んだ意訳が一行の背後に潜む、凝縮された更級世界にわれわれを導く。『更級日記』の魅力を存分に引き出した新訳の誕生!
目次
1 十三歳 東海道紀行…憧れは西へ
2 十三歳から十七歳 広壮な屋敷で紡がれる夢…物語愛づる少女
3 十八歳から二十四歳 東山での日々…淡い恋の記憶
4 二十五歳から二十八歳 父、遠くへ去りぬ…寄せては返す夢のさざ波
5 二十九歳から三十二歳 祐子内親王家への宮仕え…文化サロンの萌芽
6 三十三歳から三十七歳 結婚と貴公子…世俗的な夫と、物語的な男
7 三十八歳から四十九歳 物詣の旅…宗教的な旅の思い出
8 五十歳から五十二歳 姨捨山の月…物語を求め続けて、今
著者等紹介
島内景二[シマウチケイジ]
1955年長崎県生。東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)。現在、電気通信大学教授。2020年4月から一年間、NHKラジオ第二『古典講読・王朝日記の世界』を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
この本の著者の島内先生が、私が毎週日曜の朝6時に聴いているNHK第2放送の古典講読で今年十数回にわたり放送されていたので興味を持って読みました。ラジオとこの本のコラボレーションでこの作者の人物関係や時代の背景がよくわかりました。古典もこのような本で勉強すると楽しめます。現在は和泉式部日記を放送されており本も発売になっているのでそちらお読もうと思っています。2020/11/18
アキ
84
ちょうど今から1000年前の1020年から始まる日記文学を楽しめた。13歳から52歳まで「物語」に人生を魅せられ、翻弄され、人生の終盤を迎える菅原孝標娘。源氏物語はその当時の女性たちに絶大なる人気があったことが伺える。浮舟に憧れながら、当然ながらそんな人生が訪れることなく、物語にのみ自分の人生を費やしてきたことに後悔の念を記す。しかし彼女は人生全体を通じて、源氏物語の「もののあわれ」を感じることを示しているかのよう。島内景二氏による一章毎の解説は、元本である藤原定家版で定家本人への考察も含め興味深く読んだ2020/08/27
涼
44
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2020/11/post-ba26fa.html こちらは、しっかり勉強になります。2020/12/01
NORI
20
菅原孝標女は、蜻蛉日記作者・藤原道綱母の姪。都への紀行記は、土佐日記風。宮仕え期は、紫式部日記風。家庭生活&寺社詣の記述は、蜻蛉日記風という、平安古典の総決算的作品。 原文は言葉少な目で、想像の余地が大きい。本書は、原文には書かれていない行間を、解説的に埋めた訳を当てているため、訳者の解釈に共感できるかどうかで、評価が分かれそう。なぜそう解釈したのか、丁寧に説明しており、勉強になった。ただ、原作者がいくら源氏物語愛に溢れた人だからと言っても、何でもかんでも源氏物語に絡めた解釈をし過ぎな気がしなくもない。2024/04/30
sine_wave
11
古文は全く不得意。訳を読んで、古文に引き返し、また、訳を確認しという読み方を行った。それでもかなり作者(菅原孝標女)の気持ちに近づけたと思う。以前源氏物語(瀬戸内寂聴訳)を読んでいたので、それも効果があったろう。2021/02/09