感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nightowl
4
妊娠していれば死刑を免れる容疑者。全員女性陪審員たちの議論は紛糾する。「十二人の怒れる男」より時代は遡るのに、女性たちの生きづらさや生々しさが受け手に斬りかかってくる戯曲。取り敢えず読(観劇)後胸を撫で下ろした前出作よりも終わりに叩き付けられる衝撃がかなり強い。上演されるシアターコクーンよりシアター風姿花伝などの小劇場向けな印象。2022/07/23
s.takmts
3
少女を殺して有罪になった女は妊娠を主張する。妊娠していれば死刑を免れ、していなければ刑が執行される時代である。そこに呼ばれて集まったのは、普段から家事労働に勤しむ12人の女たち。彼女たちは自身の経験と知識で女の主張を見極めようとする。ユーモアを取り入れながらも次第に笑ってなどいられない事態に陥っていく。議論の末に彼女たちが戻る先は日常。そしてその議論すら一瞬で退ける力が存在するおぞましさ。昔話ではない落胆もある中、改めてこの物語の結末がはびこる未来は見たくないと思い、よいきっかけになった作品だった。2022/07/16