感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
21
一国を制する大名が生まれず、上杉・武田・北条の係争地となった上野を例に、戦国時代の「境目」を紹介する。境目とは、敵対する勢力同士が複雑に混じり合う緩衝地帯であり、閉じられた国境線ではなく、開かれた空間として捉える視点が面白い。軍事的な緊張があるとはいえ、異なる勢力とのビジネスチャンスがあったり、領民が特別に保護される存在であったりと多様な面を見せる。またそうした境目に盤踞する領主たちも、敵対する両勢力にパイプを持つことで、大勢力に強気の交渉を仕掛ける強かな連中ばかり。境目という曖昧な「空間」がここにある。2022/11/05
takao
0
ふむ2025/06/15
JF1RLN
0
室町後期の上州~北信越方面中心のお話。境目は明確に線引きされてたわけではないよ、という本。曖昧なエリア。利によってどちらにもつくけど、当然どちらからも信頼はされていない。「地下人達だけに在城命じても逃げるから」と言われてしまうあたりにその一端が見える。が、戦国大名達は彼らをうまく使わないといけないというジレンマ。境目はあいまいなエリア故に利権も生じるということでなかなか面白い。最終的には消滅してしまう、という経緯が記されているて丁寧な記述が面白い。2023/03/10
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- 和書
- 偽悪病患者 創元推理文庫