感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
53
偶然に『北白川こども風土記』と出会ったのは4年前。児童たちの調査や出版から60年をへて、再び注目されたことを喜びたい。本書は、最初に原著のコピーが抄録され、さまざまな角度から、本の成立過程やその後の影響、学校と地域との関係性などを各論展開していく。原著も「驚くべき本」なのであるが、本書も十分に「驚くべき本」だと感じる。そして双方とも出版の予定が当初はなく、トップダウンの企画ではなく、ボトムアップから生まれたことも特筆すべきだろう。各学校に残るかけがえのない郷土資料を、何とか保存・活用させる必要性を感じた。2020/11/21
アメヲトコ
9
昭和34年、京都市立北白川小学校の4年生の児童たちによって執筆された郷土研究『北白川こども風土記』に光を当てて、その歴史的意義と可能性を再評価した一冊。冒頭にこの風土記の一部が抄録されていますが、小学生が書いたとは思えない高度な内容に驚かされます。「花うり族と大学族」からなる住民の文化資本の豊かさの賜物でしょうか。またこの風土記本体のみならず、この本が共同研究の成果として結実していく過程も興味深く、論考とコラム、グラビアページが適切に配された書籍設計も見どころです。2021/06/14
志村真幸
4
本書は、『北白川こども風土記』を半世紀あまりたって発掘したもの。十数名の研究者が読み解き、戦後日本教育における「子どもと郷土」という問題へ迫っている。 「こども風土記」というジャンルは教師と生徒と地元の関係を考えるには、これ以上ない素材である。 本書では、親、古老、近くの京大の先生たち、出版者など、いかに多くのひとびとが協力したかが焦点のひとつとなっている。なおかつ、うまくいった面と失敗した部分との両方が見えてくるのがおもしろい。 現在の地域教育においても、多くのヒントを与えてくれる一冊だろう。 2020/06/26
ねこむすめ
0
小学生が書いた文章だとは思えない、凄い仕上がり‥ 今で言う、総合学習なんだろうけど、規模感と本気度が違いすぎる。 昔の教育者は凄かった‥2023/07/28
tnk
0
郷土史調べの傑作ながら、地域の課題を見つけて改善につなげるという社会科教育の理想からは遠い実践だったと、指導した教師は振り返っているそう。ただ、新旧住民をつなぐ地域の核として、消えつつある文化について詳細にまとめたのは意義深かったのでは。2022/07/23
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