内容説明
英国の小村バックワースに君臨する名門リチャーズ家は、三つの事件に揺れていた。当主マチューが若い女秘書を後妻に迎えると言い出したこと、アフガンで戦死したと思われていた長女の夫の帰還。そして神出鬼没の“白い女”の霊。「白い女は出会った者の命を奪う」という村の言い伝え通りに怪死事件が発生し、マチューが狙われる。事件の背後には妖しい女占い師の姿が―名探偵オーウェン・バーンズが怪事件の謎を暴くシリーズ最新作!
著者等紹介
アルテ,ポール[アルテ,ポール] [Halter,Paul]
フランスの推理作家。ジョン・ディクスン・カーに傾倒し、密室殺人などの不可能犯罪をテーマに、名探偵が活躍するクラシカルな本格ミステリを精力的に発表している
平岡敦[ヒラオカアツシ]
フランス文学翻訳家。1955年千葉市生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒、中央大学大学院仏文学専攻修了。大学在学中はワセダミステリクラブに所属。現在は中央大学、法政大学等で仏語、仏文学を講じるかたわら、フランス・ミステリを中心に純文学、怪奇小説、ファンタジー、SF、児童文学、絵本など幅広い分野で翻訳活動を続けている。『この世でいちばんすばらしい馬』および『水曜日の本屋さん』で産経児童出版文化賞を、『オペラ座の怪人』で日仏翻訳文学賞を、『天国でまた会おう』で日本翻訳家協会翻訳特別賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tosca
30
今回はタイトルの通り、村の伝説で伝わる幽霊っぽい白い女が出てくる話であるが、いくら村の名家の当主からの依頼とは言え、怪我人も死人もいない段階から警察が出てくるのは無理がある。冒頭に出てくる長女マーゴットの結婚3週間で戦死した夫が実は生きていたという話や、色々ないわく有りげな話が中途半端に盛り込まれているので、白い女の不気味さがイマイチ伝わらない。名探偵オーウェン・バーンズが解決していく最終盤になるまではちょっと退屈したけれど、ラストはまあまあ納得2025/03/20
コーデ21
20
《「白い女は出会った者の命を奪う」という村の言い伝え通りに怪死事件が発生 事件の背後には妖しい女占い師の姿が―》名探偵オーウェン・バーンズ・シリーズ 著者ポール・アルテ氏は仏ミステリー作家で日本でも高い評価を受けているとか?今回初読みです! 現役作家さんの作品のわりには、えらくクラシカルな趣きで少々戸惑い~💦 いかんせんクリスティの『マギンティ夫人は死んだ』を読んだ直後だったこともあり、今作の間延びした展開には乗れないままでした(-"-) 残念無念😅2025/03/20
だるま
14
名探偵「オーウェン・バーンズ」シリーズの第6弾であり、未訳が2作残っているけど、この出版社からの翻訳は本作で完結らしい。ハヤカワのツイスト博士シリーズは全て傑作だったが、こちらのシリーズは出来に偏りがあり、本作はあまり感心しなかった。白い女の霊が現れるとの言い伝えがある村で、資産家の老人の前に白い女が度々出没し、バーンズが乗り出すストーリーだが、悲劇が起こるのが相当後半で、女が書斎から消える不可能犯罪の解明に魅力がゼロ。犯人当てとしてはまずまずだが、こういう設定は好みじゃ無かった。解説は丁寧だったけどね。2025/03/01
ソルト佐藤
7
いつもと違って大人しい展開。田舎屋敷の殺人事件。容疑書が絞られている。そのなかで、エレガントに謎を解くオーエン。どうした、アルテ、お前の作風はそうだったか?(笑 しかし、最後に現われる構図は、面白く。なんだかだとお話が面白い。これでいったん翻訳終了ということだけれど、ツイスト博士ものもまだあるだろう!もっと翻訳してほしい。2025/01/31
紫
3
シリーズ第一作『混沌の王』に続いて、最近作を読了。作者も探偵も年を喰ったせいか、名探偵バーンズは警察や事件関係者とのコミュニケーションもいたって友好的であります。お前は本当に同一人物なのか!? 地方伝承の怪異が旧家の当主にとりついて……といった内容でして、現代日本でいえば口裂け女の謎か人面犬の謎か? 何度かの未遂の犯行を挟みつつ、200ページを超えてやっと殺されるんですが、犠牲者が出るまでは真相に到達できないバーンズはやっぱり頼りにならない探偵役……。付録小冊子は不可能犯罪物の短編「ハデスの兜」。星4つ。2025/02/20