内容説明
フランスにあるランスロット卿の居城―その外に陣取る天幕の中、熱にうかされ負傷したアーサー王の甥ガウェイン卿が臥している。円卓は瓦解、今や騎士たちは反目し合う状況に。アーサーとガウェインはかつての親友ランスロットを包囲している。ガウェインの不安定な脳裏を巡るこの残酷な現実―彼は若き従者に自らの目を通して見た王国の栄枯盛衰を語る。キリスト教の国王に仕えた高貴なる騎士たちの友情、アーサーの幼少期、魔法の剣を引き抜き王になった背景、不可思議な緑の騎士を巡る自らの冒険、聖杯の探求、そして仲間を引き裂いた敵対心と憎しみ。アーサー王伝説が一つの連続した物語の中で語り直されることは珍しい。独特の雰囲気を放つチャールズ・キーピングの挿し絵とともに、ニール・フィリップは劇的結末へと向かう勇壮な物語をここに提示した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
47
新刊コーナーから、映画『グリーン・ナイト』のおかげで出版されたのでしょうか。ガウェイン卿が語るアーサー王伝説です。迫力ある挿し絵が入っています。ガウェインの結婚の話、世の女性が何を望むかの教えは確かに納得出来ます。パーシヴァル卿は今までにない捉え方かもしれません。ガウェイン卿、アーサー王の騎士たちの中でも存在感が大きくエピソードも多い騎士です。作者の覚え書にT.H.ホワイト『永遠の王』があげられていて好きな作品なので嬉しく思いました。また読みたくなります。アーサー王伝説、いろいろな作品となっていますね。2023/03/18
ろばみみ
1
アーサリアン履修済みの方向けかな?ガウェイン視点の一人称で語られる。原文は吟遊詩人が歌うような美文なのかもしれないと思わせる優美な文章です。2023/12/18