内容説明
「これは宇宙戦争なんだ」謎の生命体が地球に侵略してきた。緊迫した状況の中、“ぼく”が気になるのは久保田葉子のことばかり。精神的な“ぼく”が恋などという“迷妄”に踊らされることはない、はずだった。ライバル的存在の平岩、B級映画に詳しい倉石、四人は危機的状況を無事に脱することはできるのか?そして“ぼく”の“迷妄”の行方は?青春SF小説の金字塔的作品。
著者等紹介
佐藤哲也[サトウテツヤ]
1960年、静岡県浜松市生まれ。1993年『イラハイ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
65
ド嬢で紹介されて気になっていた本。勝手に児童向けSF感動ものと勘違いしてた。でもそれはそれで良かった。面白く読めたので。これはSF青春妄想こじらせ文学だった。ある日、謎の火球が学校近辺に飛来。騒動になるが”ぼく”はそんなことよりも久保田葉子のことが気になっていた。分かる。何といっても久保田さんは松本零士が描くあの女性のような美人だから。彼は彼女への気持ちに憑りつかれ僅かな不安要素を見つけて拡大し安心する答えを見つけるまで緻密な論理思考を繰り返す。非日常の中でさえ貫かれる現実性。ナンセンスだが痛いほど共感。2019/04/13
佐島楓
60
謎の生命体の襲来が苛烈な自然災害を想起させる。自分の恋心を認められない「精神的」な主人公。極限状態にあっても現実をどこか遠いものとして眺め、目前の久保田葉子への想いに翻弄される姿が現代の人間としてリアルだった、というか、利己的になりすぎない性格は魅力に見えた。この後の物語は、脳内保管しかあり得ない。2019/04/16
そふぃあ
19
同じ言い回しの頻繁な繰り返し、過度に用いられる「〜、とぼくは思った。」や、「愚劣」という表現はすべて、 想い人とその周囲の人の心を勝手に推し測り、イチかゼロかしかないという視野狭窄に陥った「ぼく」の心を表現しているんだろうなと自分なりに考えたが、森見登美彦の解説の素晴らしさにすべて押し流されていった。青春はひとり相撲。2021/03/28
p-man
17
宇宙から飛来した謎の生物に襲われるという状態で、主人公が黒髪の乙女を想い、ライバルの迷妄を否定しながら、実際には自身が見事な迷妄っぷりを繰り広げる。恋の一人相撲が独特な言い回しで表現され、なんとも不思議な読了感。 森見登美彦氏の解説も面白い。2019/05/09
ゆぽんぬ
6
「火球落下、謎の生命体の襲来。そのときぼくは、久保田葉子のことを考えていた」という帯の煽り文の通り。自分は精神的、ライバルの平岩は迷妄的だと陰鬱に論理的に語っていた。ハイレベルすぎるひとり相撲な恋物語。と、同時並行に進む異星人による侵略物語。恋は戦争とはよく言う。が、この話は主人公が久保田に惹かれていく(超自覚なし)に従って、本当に戦争が起きていく。内側的にも、外側的にも日常は変わってしまう。それなのに、変わっていないと言い聞かせるのが…。恐ろしいのに、独特な文体はリズム遊びのようで楽しい。そして綺麗。2019/07/21




