内容説明
身近な見慣れたモノが歴史解明の素材として生き返ってくる。歴史学に人を惹きつける王道「おおさか」。地域資料から日本を読み直すシリーズ!
目次
第1部 飽くなき追究!新しい歴史学の可能性と方法を求めて(採石ルートを辿り見えてくるもの 飯盛山南尾根・野崎での徳川大坂城の採石―キリシタン大名京極丹後守の遺跡と伝承;廃道に眠る歴史を掘り起こす 道供養碑はなぜ建てられたのか―大阪・池田に残る石造文化財 ほか)
第2部 史資料が語る!おおさかの町と人(瓦に読む都市と職人 出土瓦からみた戦国期の瓦生産―天王寺瓦工を中心に;なぜ彼らを同伴させたのか 髪結たちの意外な役割―道修町近所講の寄合と町髪結 ほか)
第3部 水と街道を注視する!変化するものと変化しないもの(何が変わり、何が変わらなかったのか 古代から近代まで続く北摂諸街道の変遷―長尾道と亀岡街道;地域史の基層を掘り起こす 水利環境からみた和泉の地域開発―井堰・溜池・用水路 ほか)
第4部 史資料との格闘!都市大阪周辺地域の史実(出土した埴輪片に向き合い続ける 運ばれなかった埴輪からわかること―日置荘西町窯跡群と河内大塚山古墳;近世の紛争解決人 水をめぐる村々の争いと扱人―「鎌田水論一件日記」から読み解く ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chang_ume
11
「地方史」の視点から大阪府内の各地域を事例にした論集。通史的な構成ではなく執筆者ごとに論点・テーマが自由に採択された結果、過半数が近世に属する内容となる。どの論文も個性的なテーマ設定が秀逸で、コンパクトな分量を次々と読み進めることができた。どれも素直に面白い。なかでもランドスケープ考古学的な視点から水利環境の変遷をたどった岸本直文論文は、地方史の枠組みを自覚的に展開させた論考として印象に残る。ただ全体的に、地方史あるいは大阪史についてある程度枠を設けた方が、シリーズ論集としてまとまり良いかとは思った。2023/01/13
わ!
2
地方史に関する論文が21本載っている。すべて大阪のどこかの何かをテーマにしたもので、著者は大学教授や資料館の職員などが多い。ともかくテーマが細かい。おそらく地方史が好きだと言っても、ある程度好みに偏りがあるだろうから、とても面白く読める内容のモノや、そうでもない内容のものなど好みが分かれるのではないかと思う。例えば天王寺区にある日本最古の陸軍墓地に関する話は、まさに最近調べていたところなので面白かったが、その中のある墓に出された町葬の葬列の内容と順番まで書いてくれているのには驚きだった。さすがに細か過ぎ!2023/02/14