内容説明
伊藤が深くかかわっていく文壇の中心には、いつも川端康成がありつづけた。伊藤と川端の文学上の関係性は1930年前後を起点としながら、その後40年近い歳月をかけてゆるやかにかかわり合い、からみ合いながら紡がれていく。彼らが見据え、研究し距離を測りながらかかわりつづけた文壇という場。そこを起点に描く新たな文学史。
目次
文学史と文壇史、そして伊藤と川端 「文壇」は作られた
二人はどのようにデビューしていったのか 文壇への参入と戦略―『感情装飾』と『雪明りの路』の作者たち
文壇に食い込むために 雑誌を創刊する伊藤―『文藝春秋』をモデルとした『文藝レビュー』
西洋のモダニズムはいかに摂取されたか フロイトの精神分析学とジョイス『ユリシーズ』の受容
文学の「正しい道」を模索する 文学史の構築と「心理小説」の発見
文学の伝統を刷新する 拡張される「純文学」概念―「父母への手紙」と「生物祭」
多くを語り得ない社会状況のなかで プロレタリア文学に向き合う―小林多喜二の死から「幽鬼の街」へ
食い扶持を稼ぐ 作家活動の裏事情―大学講師と代作問題
協調か沈黙か 戦争と文壇―戦時下の「私」の行方
戦後にそれぞれが担った役割 文壇の戦争責任と再建―『鳴海仙吉』と『雪国』
法廷の内外で語られた言葉とは 文壇の団結と再出発―チャタレイ事件と『舞姫』
「文壇」の中心へ 日本近代文学館設立からノーベル文学賞受賞へ
著者等紹介
尾形大[オガタダイ]
1978年神奈川県横浜市生。専門は日本の近現代文学。研究対象は伊藤整を中心とする1920~50年代の文学場。博士(文学)。早稲田大学・日本大学大学院を経て、山梨大学大学院総合研究部教育学域人間科学系(言語教育講座)准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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K.H.
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