内容説明
そもそもどういう闘争だったのか?地域や時代によって違いがあるのか。各時代の社会・地域の状況、政治過程に沿いながら、可能な限り提示する。蓮如から顕如に至る四代にわたる時代の戦国期の人間の行動原理とは。
目次
第1章 蓮如の時代―戦国時代の幕開け(本願寺破却と金森一揆;堅田大責 ほか)
第2章 実如の時代―宗主による戦闘指令の始まり(大坂一乱;永正一揆―北陸の動乱と一向一揆 ほか)
第3章 証如の時代―本願寺教団の内紛・本願寺焼亡(享禄の錯乱―本願寺教団の最大の内紛勃発す;天文一揆―本願寺焼失への道 ほか)
第4章 顕如の時代―戦国末期の争乱と大坂退去(朝倉氏との攻防と和睦;三河一向一揆 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
83
信長絡みの話に必ず出てくる本願寺と一向一揆だが、歴史の敗者として添え物扱いされていた。しかし日本の政治に大きな影響を与えた宗教反乱として、真剣に研究すべきなのは確かだ。一般向け概説書すらなかったので、コンパクトな通史の登場は日本史の空白を埋めてくれる。小説や漫画では宗主の指令に忠実な固い団結を誇る組織として描かれるが、実際は内紛が絶えず粛清が行われたり各地の門徒が勝手に動くなど統制に苦慮する姿が生々しい。民衆が権益のため宗教をドライに利用するなど、従来の常識を覆す分析は戦国期を見る目を大きく変えてくれる。2021/08/07
さすらいの雑魚
42
第六天魔王の覇業のまえに立ち塞がった怨敵。法主顕如率いる石山本願寺と一向一揆の入門書。全体像を描いたものは目にした事が無かったのでありがたし。一向宗と言えば信仰の絆と鋼の規律で統率された狂信者の群れが武家支配打倒を目指し武装蜂起ってヤバくて強面なイメージでしたが、本作で詳述される内実を見てると中央政界での駆け引きの都合と出先末寺の既得権益や在地の勢力の利害関係の間で右往左往する宗主坊官のバタバタ具合が少しユーモラスで親しみが湧く的な♪信長の忍びや信長の野望の副読本に良い♪2022/01/31
nagoyan
20
優。「はじめに」で指摘されるように、まず戦国期の本願寺教団は近世寺檀制度確立後の「宗派」概念では理解できない。そして「一向一揆」とされるものも時代、地域による偏差が大きく、必ずしも宗教的信条が一揆の理由ではなく、本山・宗主に忠実だったわけではない。一章では戦国期幕開けに位置する蓮如と主として北陸の一揆、二章では実如と永正の錯乱の時代、三章では証如と教団の分裂、天文一揆と武家への屈服、四章では顕如と織田政権との抗争と体制化。地元利益を中心に結束する「一揆」と、教団の集権化を進める本山・宗主とは原理的に対立。2023/03/12
六点
20
つい数年前まで、いや、現在でも創作物では「やゔぁい新興宗教団体もどき」みたいな描かれ方をされる「一向一揆」である。がこの本では、蓮如上人から顕如上人に至る歴代の法主の時代ごとに、多様な姿を見せる「一向一揆」の姿が描かれている。在地領主の権益を侵す外来領主を追い出したり、史料が無いのでなんで起きたかわからないが、大変な争乱になったり、法主の制止を振り切ったり、あるいは、法主の許可無く和議を行うなど、「在地の論理」に右往左往する本願寺の姿は、少しく滑稽味を感じる。多様な姿が広まり研究が深化すれば良いなと思う。2021/07/17
MUNEKAZ
18
戦国期の一向一揆の通史。蓮如から顕如まで歴代の宗主ごとにまとめてあり、一揆の内実や変遷がよくわかる。宗主の号令の下、宗教的情熱に突き動かされた門徒衆みたいな、ステレオタイプの一揆像は変わること請け合いの内容。著者も指摘するように、宗主への絶対服従を求める本願寺の法義と、朋輩のつながりを基にする一揆の論理は本来相容れないもの。宗主の命を無視し、闕所地の獲得に勤しむものや対織田戦に立ち上がらないものが出るのも必定か。「他力本願」を唱える組織が、自力救済の世で領主になってしまった矛盾を感じるところである。2023/01/14
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