内容説明
成立より明治まで、書き手に任されてきた平仮名字体は、明治期に人為的な統制を加えられた。それを成り立たせた、明治期の平仮名字体の「字体意識」とは何か?明治時代に現代の平仮名体系が確立した過程をダイナミックに描き出した初の書。
目次
第1部 はじめに(明治期読本の平仮名字体意識の諸問題;いろは仮名の来しかた―近世・近代における平仮名字体の体系化)
第2部 近世の仮名字体意識の諸問題(江戸期のいろは仮名;教科書に用いる仮名字体―往来物における濁音仮名から見えるもの)
第3部 明治期読本における平仮名字体意識の形成と変容(明治期のいろは仮名;明治検定期以前の読本の仮名字体;異体仮名表の形と字体;いろはならざる画一化のゆくえ―「かなのくわい」の画一化試案)
第4部 小学校令施行規則第一号表にいたるまで(明治検定期読本における字体の画一化過程;小学校令施行規則第一号表を読みなおす;例に示す仮名と実際に用いる仮名の一致について;「いろは」から「平仮名」へ)
第5部 おわりに(議論の整理と今後の展望)
平仮名字体記述法の批判的検討
著者等紹介
岡田一祐[オカダカズヒロ]
1987年神奈川県生まれ、千葉県育ち。2015年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。北星学園大学非常勤講師、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員、国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター特任助教を経て、2020年より北海学園大学人文学部講師。主要な論文に「明治検定期読本の平仮名字体」(『日本語の研究』10巻4号、2014年。2014年度日本語学会論文賞、第37回新村出記念研究奨励賞受賞)など。著書に『ネット文化資源の読み方・作り方 図書館・自治体・研究者必携ガイド』(文学通信、2019年。デジタルアーカイブ学会第2回学会賞学術賞(著書)受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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