内容説明
すべての欲望を飲み込むこの街で“かぶく”者たちの群像劇がはじまる。ぼったくりの帝王、ヒットマン、伝説のヤクザ、ナンバー1キャバ嬢、歌舞伎町最大の悲劇の裏側を知る人物など…それぞれの半生が街の形を描き出す。そして、十三歳だった著者は雑居ビルの谷間で何を見たのか?
目次
第1章 歌舞伎町最大の惨劇を追う
第2章 ぼったくりの帝王と入れ墨の女王
第3章 不夜城の出自
第4章 ヤクザの街で暮らす女
第5章 職場は歌舞伎町
第6章 キャバクラ嬢、半生を打ち明ける
第7章 ホストの群れ
第8章 稼業の男たち
第9章 様々な色恋
第10章 旅の終わりに
著者等紹介
本橋信宏[モトハシノブヒロ]
1956年埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。集合写真で「一人おいて」と、おかれてしまった人物、忘れられた英雄を追いつづける。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
120
過去持ちや事情を抱えた面々は、隣が誰だろうと気にしない繁華街へ吹き寄せられる。当然、公言できない職にしか就けず、否応なく裏社会を形成していく。そこでうごめく元ぼったくりバーの帝王に裏DVD屋、やくざとヒットマン、風俗嬢やホストなどの生態は表しか知らぬ者にはグロテスクだが、光あるところには影がある事実を強烈に照らし出す。そんな世界の灯に引かれる虫のような存在も集まるが、岩井志麻子に中村京子、ブッチー武者も住人となっていたとは。石原慎太郎が知事時代に浄化作戦を繰り返したが、却って地下にもぐってしまったようだ。2023/10/09
読特
34
2001年雑居ビルでの出火。麻雀店で遊興に勤しむサラリーマンらが被害を受ける。杜撰なビルの防火対策。難航する示談交渉をまとめた男がいる。1981年ラブホテルでの女性3人連続殺人事件。最年少の被害者は17歳。身元の判明は図書館で借りた本から。実行犯は未だ不明。…キャバ嬢が働き、ホストが稼ぐ。やくざが暮らし、元ぼったくりが統帥する。編集者と芸人が思いを語り、写真家が撮影する。作家が作品の舞台の構想を描く。懐深きアンダーグラウンド歌舞伎町…久々に歩いてみたくなった。地上の街を、地下の世界に想いを巡らしながら。2023/12/17
DEE
9
アンダーグラウンドシリーズ、ついに歌舞伎町が登場。話題に事欠かない場所と人々、著者の取材力、そして昨今の状況などが絡み合い実に濃厚な内容で大満足。 自分は緊急事態宣言の切れ間を縫って散歩してきたけど、人通りの少ない歌舞伎町は貴重だったんだな。2023/09/03
オオイ
5
ウ~ン ? こんな感じだろうさほど刺激的では無かった。2025/05/18
オールド・ボリシェビク
5
かなり分厚な本だが、あっという間に読めるよ。本橋信宏、先に読んだ「ジャニーズ」もそうだが、上手くなったというか、熟練してきたな。濃い人間が濃厚なドラマを繰り広げる新宿・歌舞伎町の断面を、点描し、飽きさせることがない。一度、脚を突っ込んでしまったら、抜けられそうにない歌舞伎町。恐ろしさの反面で見てみたい好奇心もかき立てられるわけで、そんな読者の心をくすぐる術も巧みである。2023/08/18