内容説明
「デザインに悲しみは盛れないか」。詩人の魂を持つ稀有なデザイナーが描いた「詩になる猫たち」との愛おしい日々。山城隆一生誕100周年記念出版。
目次
「画伯」の猫(出久根達郎)
ネ・コラージュ
猫は猫の夢を見る
猫の肖像
猫のいる風景
エッセイ・猫の独白
著者等紹介
山城隆一[ヤマシロリュウイチ]
1920~1997。大阪生まれ。日本のデザインの源流を創ったひとりとして、日本デザインセンターの創設に参加。’73年にはデザイン事務所Rを設立。広告の仕事の傍ら、1980年代より猫をモチーフに多くの展覧会を催し、美しい色に包まれた、猫たちの豊かな表情や仕草は今も、年代を問わず多くのファンのこころを捉えている。’85年・紫綬褒章、’93年・勲四等旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
28
岩合光昭さんの「世界ネコ歩き」の番組や写真集は大好きでよく見る。恥ずかしながら山城隆一さんはこの本を手に取るまで知らなかった。「ぼくの描きたい猫は千菓子でなじゃなくてドロップのような、どちらかというと西洋菓子に近いもののようだ」と述べているように洗練されていてオシャレなイラストが満載な作品となっている。「猫には誰でも逢える。でも、猫を見る人は少ない。- 僕の描くネコの絵は、ネコからヒトへのメッセージである」なるほど、見れば見る程、愛着が湧き、何度でも眺めていたい、そんなホンワカした優しい気分になれた。2019/09/21
宇宙猫
23
★★★★★ 「猫びより」で気になって読んだ。写実的じゃないのにリアルなのは、ポーズをしっかり捉えているのと愛情かな。エッセイでも猫を可愛がっているのが良く分かる。夏になると”大根をならべたようにゴロゴロと寝そべっている。”っていう表現が可笑しくもうなずけて好き。2020/07/15
大粒まろん
7
非常に洗練されたイラストの中に個体の持つ個性や趣を感じる作品集。狙い通り温かさの中に少し悲しい佇まいがある仕上がりです。2023/04/09
きのたん
5
【課題】いかにも80年代の粋な猫飼い。気楽であくまで人間本意で。社会が成熟して幸せの最先端だった日々の記録のように見えて、読んでいて伯父夫妻の家と重ね合わせて勝手に一人で物悲しくなってしまった。ということは完璧にやり遂げたと思っている今も、未来から見れば正造と猫と女のように的外れなところに力を入れた単なる”その時代”の価値観でしかないのかもしれない。 人に言ったら自分だけが感じている何かがなくなりそうという表現が気にかかった。デザインに悲しみを入れられないかとはすごい発想だ。2023/01/19
tt
1
山城さんのタイポグラフィカルなポスターが好きだったので、図書館で借りてみた。猫の絵は実物で見てみたいと思った。平面構成のような背景に山城さん自身の感情、気持ちが投影されているという。後半の猫エッセイも面白かった。そして、ちょっと哀しかった。2021/01/31