感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
139
関東大震災後、朝鮮人と疑われた薬の行商団(香川県の被差別部落出身)15名が暴行され、住民によって9名が殺害された福田村事件。各所での朝鮮人虐殺も福田村事件も、事実を知れば知るほど、人がこれほどまでに残虐になれることに居たたまれない気持ちになる。しかし、私は、そのこと以上に、加害者たちが、法廷で、何の罪悪感も持たず、むしろ英雄のように振舞い、それを地元民は支援し、服役後、その一人は村長になったという後日談に大きな衝撃を覚えた。それこそが、自己の責任を隠すことに奔走し続ける戦後の日本を象徴している気がする。2023/10/06
kinkin
115
事件のことは他の書物で読んでいたので気になっていた。災害は時として人を残酷に変えるものだということ。子供から妊婦まで惨殺したという。殺した方は普通の人たちだ。朝鮮人が攻めてくるという流言飛語であとから逮捕されて収監されてモノの罪は軽かった。恐怖と残酷は表裏一体。イスラエルのガザ攻撃で多くのこどもたちが無差別で攻撃されている、ウクライナ、アフリカのスーダンも酷いらしい。アウシュヴィッツも兵隊はもともと普通の人々。どんな人も生まれたときは祝福されたはず。残酷性は誰でも持って生まれたのが隠れていたのかな。 2024/05/01
読特
91
恐怖のためか、やるせない怒りをぶつけるためか、矛先は弱いものに向かう。凶行は正当化された。審判が下った後さえも。人間の性は恐ろしい。克服してきたのが文明の発達。本当に怖いのは、忘れ去ること、なかったことにしてしまうこと。学びは止まり、過ちは何度でもくり返される。…1923年9月1日。震災は起きた。「流言蜚語」。半島からの移住者が標的になる。一方、福田村で起きたのは、日本人への虐殺。長く埋もれてきたのは、認めたくない史実だから。書籍の復刊。映画化。学ばねばならない。予期せぬ禍。人の価値はそのとき試される。2024/03/10
がらくたどん
78
酷い目にあった過去の記録というのは大事に反芻されて、時には涙を誘う物語になって広く行き渡ったりする。酷いことをした遠くの誰かの記録も「とても人間とは思えない」という義憤みたいなものと共に涙を誘いつつ案外と受け入れられたりする。では酷いことをやっちまった過去の記録っていうのはどうだろうか。酷いことをした人が自分と重なる部分が無いただただ酷い人だったらどんなに気楽だろう。関東大震災直後、房総の長閑な村で善良な人々が善良な人々を惨殺した事件の記録。普通の人が残虐な行為に走るスイッチを皆で真面目に探さないと。力作2024/01/12
ゆいまある
75
大正12年9月1日。関東大震災が起きる。朝鮮人はその前から独立運動を起こしており、政府は抑えたいと思っていた。その最中に起きた震災。朝鮮人が井戸に毒を入れたと噂が流れ、市民は暴徒と化し、香川から千葉に行商に来ていた妊婦子供含む9人が虐殺された。殺した側は一応裁かれたものの、香川側には知らされていない。彼らが耕す土地を持たない被差別部落出身者だったからだ。因みに香川県でこの事件を知る人はほぼいない。巻末の森達也の文章がいい。虐殺者は大抵優しい。オウムの実行犯ですら。危険なのは集団だと。【KU】2026/10/19
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