内容説明
歌い、語り、失い、探し、歩き、踊り、倒れ、生き延びる。分断に揺れる現代アメリカのもう一つの顔。あなたは読み終えた後に、立ち上がれないほどの衝撃を受けるだろう!今を生きる12人の都市インディアンたちの物語。アメリカ図書館賞、ヘミングウェイ賞、「今年読むべき10冊の本」ニューヨークタイムズ、その他ワシントンポスト、サンフランシスコ・クロニクル、ボストン・グローブ等、全米各紙絶賛の書評!
著者等紹介
オレンジ,トミー[オレンジ,トミー] [Orange,Tommy]
1982年カリフォルニア州オークランド生まれ。シャイアン・アラパホ部族の登録員。アメリカインディアン芸術大学で芸術学修士号(MFA)を取得。現在同大学で創作を教えている。デビュー作『ゼアゼア』で2019年アメリカ図書賞や2019年PEN/ヘミングウェイ賞を受賞
加藤有佳織[カトウユカリ]
1983年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部助教。専門はアメリカ文学・カナダ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
93
総勢12人もの先住民族とその血族から発せられる力強い声。現代社会に埋もれている存在を、その物語の大きさを確かに感じ取ることができる。数多の人生が散らばり、結びつき、そして迎える破壊的なラスト。フラッシュバックするように重なる殺戮の歴史に、中盤で語られる”呪い”を思い出して嘆息した。第四部は圧巻の筆力である。本を読んでいて、こういう感覚で「終わってほしくない」と思ったのは初めてかもしれない。最新のアメリカ文学としては間違いなく必読の一冊だろう。規格外、衝撃のデビュー作。2020/12/21
ワッピー
30
読み友さんの感想から。『居留地喪失』後の現代のインディアンの置かれたシビアな状況は想像以上でした。居留地ですら、それまで自由に行き来できた土地を奪われ、押し込められていた不毛の地なのに、部族が解体され、社会構造すら奪われていたとは・・・。飲酒・ドラッグ、そして怖ろしいほどの自殺率は、彼らに容赦なく襲いかかり、家族すら崩壊して破片となった登場人物たちはパウワウ開催が決まったオークランドに踊りに、ドラムをたたきに、そして金を奪いに吸い寄せられ、そして「遠くから」「過去から」の銃弾が彼らに襲いかかる・・・ ⇒2021/11/07
風に吹かれて
23
都市インディアンたちの物語。ネイティブである彼らは彼らが棲んでいる土地にやってきた奴らに多くを殺され「インディアン」とか「アメリカンインディアン」とか違和感のある呼称を与えられている。現在は多くが都市部にすんでいるという。彼らは保護地のようなところに棲んでいるとばかり私は思っていた。期待大で読み始める。 アルコール中毒に麻薬、パソコンやスマホは、もちろん当たり前。3Dプリンターに銃…。 →2022/06/30
小太郎
23
話題になっていたので読みました。都市に住む12人のインディアンの物語。読んでいて初めはちょっと散漫かなと。でもそれぞれとてもリアルで今の彼らがおかれている状況が浮かび上がってきます。語られてこなかった彼らの歴史が目の前に突き付けられます。そして最終章での衝撃。作者の企みに気が付いたときに最初から練られていた構成に驚きました。最後はちょっとウルウルしてしまいました。2021/10/26
アヴォカド
17
第四部はまるでスローモーションだった。冒頭とラストが呼応して激しく響き渡る。圧倒的迫力。”インディアン””ネイティブ・アメリカン”と言えばつい狩猟やテントや保護区や独自のダンスなどのいかにもなイメージを抱いてしまいがちだけれど、なるほど現代の経済や文化の中で”都市インディアン”として生活しているわけだよね。イメージの”インディアン”はどこにもあってどこにもない。それは”インディアン”に限らず、どこの国でもどの民族でも、日本でも日本の中のどこかの地方でも同じ。2021/01/23
-
- 洋書
- To Siberia