感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bo-he-mian
10
本書は終戦直前の'45年3月~'46年初夏の東京の、空襲で焼け野原と化した風景や人々の様子を記録した、貴重なスケッチ集である。この絵を描いた髙橋春人氏は、公共ポスターのグラフィックデザインなどを生業としていた方で、このスケッチは仕事としてではなく「描かずにはいられない」思いに駆られて描き溜めていったもの、なのだそうだ。白黒/カラー織り交ぜ総数107葉。描かれた場所の現在の写真や、当時の写真などもあれば併載し、丁寧な解説もあるので、資料的な価値も相当高い。この手の戦後資料に興味のある方は必帯の書。2020/01/05
遠い日
8
戦災により壊滅した東京の街。それはあたかも敗戦で心身ともに疲弊し傷ついた自分の心そのものであったという。当時の世情からすれば、スケッチするという行為が人の目に異常に映るのは重々承知の上で、それでもなおそうせずにはいられなかった高橋春人氏の胸奥を思えば、ことばがない。2019/11/16
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