内容説明
怪獣だって恋したい―。現実に絶望する小日向さんと、千年を生きるゴンス。「夜の京都」で出会ってしまった二人の運命の行方は?儚くも、淡い希望が揺れては浮かぶ、新世代のファンタジー。第3回京都文学賞受賞作。
著者等紹介
佐藤ゆき乃[サトウユキノ]
1998年生まれ。岩手県二戸市出身。2017年に立命館大学文学部に進学し、在学中は京都市内で過ごす。2022年に、本作(原題「備忘六」)で第3回京都文学賞受賞(一般部門最優秀賞)。2023年に、「ながれる」で岩手・宮城・福島MIRAI文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にゃおこ
24
ソワレのゼリーポンチ!2024/03/08
遙
24
京都文学賞受賞作。書店で惹かれて手に取った一冊。美くて優しくて、どうしょうもなく悲しい、夜の京都にじんわり綴られる怪獣の恋。 凄く好きでした。 [美しいから愛するのではなく、愛しているから、美しいのです。] [[死なないで]って言ってほしいんじゃなくて、好きな人に、[ここにいて]って言って欲しいの。] 心に響き残る美しく、儚い言葉たち。 自分を好きになれない、愛されたい、そんな渇望を優しい夜で癒してくれる一冊。 この著者さん、今後もチェックしていきたいです。2023/12/09
miu
10
夜の京都は異世界。怪獣(妖怪?)は何年だって生きるし、恋だってする。現実世界では家族や恋人から疎まれ、自己肯定感がとんでもなく低くたって、夜の京都では天使のように愛らしい。妄想なのかもうひとつの世界線なのか、その狭間がシネシネと鳴く蝉がいる京都にマッチしている。これぞファンタジー。2024/02/07
nukowan
9
この作品のタイトル、読み始めるまではなんだかなあ、と思ってたけど読了後は、そうか、と納得する。そんな物語。ネットで話題になってたものを図書館で予約したもので、読む段階でどんな作品なのかは例のごとくさっぱり不明でした。夜の京都のファンタジー。鵺、ときたか。現実パートの重さはちょっと好みじゃなかったですけど「エイザノンチュゴンス」がいいやつ過ぎてよかった。⑥にこだわるロジックもまあ、よかったのではないでしょうか。夜を歩く。あの角を曲がると……。2024/04/16
林芳
4
幻想的だけれど、現実の悲しさが覆う物語。ゴンスは小日向さんなんだな~と思う。小日向さんが願っていた生き方を体現しているのがゴンスだから。ハッピーな終わり方ではない。でも京都の町を舞台にすることで優しさと静けさに包まれている。だから、社会からはじかれている者の辛さが深く心を打つ。2024/05/10