内容説明
「なにもしない」料理が、地球と私とあなたを救う。土井節炸裂、一生ものの雑文集。
目次
1 料理という人間らしさ
2 料理がひとを守ってくれる
3 偶然を味方にする―「地球と料理」考
4 味つけはせんでええんです
5 料理する動物
6 パンドラの箱を開けるな!
著者等紹介
土井善晴[ドイヨシハル]
1957年大阪生まれ。料理研究家。十文字学園女子大学特別招聘教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、甲子園短期大学客員教授。フランス料理、日本料理を修業。1992年においしいもの研究所設立。料理とは何か・人間はなぜ料理をするのか・人間とは何かを考える「食事学」「料理学」を広く指導。2016年刊行の『一汁一菜でよいという提案』が大きな話題に。2022年度、文化庁長官表彰受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
113
日々思うところのエッセー。人生万般を根本にして、料理という側面から、自然や世界を見渡そうとする試みを一冊にまとめました。ちょっと強引な箇所も散見されるが、「自然に感謝して、季節の恵みを素材に、家族を思って料理する」との思想は、さすが和食の料理人と思いました。2025/02/28
あすなろ
95
一汁一菜を提唱された著書を上梓されてからのその後と実践という感の土井先生の随筆集。僕は土井先生の著書が好きであり、気付くと折りに触れて読ませて頂いている。本書も先生ご自身が冒頭に書かれているとおりである。私が書いたものを読んで頂けるのは、料理を通して見える何か料理とは違う世界がその背景にあるんじゃないかと感じてくださっているからの様に思う、と。正にそのとおりで僕はそれを先生の豊富な知識や読書家である事や今迄のご経験等から綴られる随筆に求めてます。また先生の考えの世界に入れる様、次なるご著書をお待ちしてます2024/12/29
けんとまん1007
74
本棚の分類を「哲学」とした。常々、思っていたことではあるが、土井さんの本は、基本なる思想があり、その発露の一つとして料理がある。料理をすることの意味、それをいただくことの意味、それが生きること・生き方にも結び付く。頭でっかちにならないように、自分の五感を持って料理にたずさわる。その先には、料理を通してつながる人たちへの思いの広がりがある。2024/04/30
アイシャ
47
お料理の達人のおっしゃることは時に哲学的で理解するのがむずかしい。でも土井先生が料理作りを主に担当する主婦たちに支持される理由はわかる。タイトルにしても「一汁一菜」を唱える姿勢にも どこか料理をする者の心をホットさせてくれるものがある。料理することは他者を思いやる気持ちなのだと言い切って下さるところ嬉しいです。他者を思うからこそ料理する。そこに過剰に「おいしい」を求めなくてもよいのだ、と応援されている気がします。2025/02/18
shikashika555
45
読んで安心した。 土井善晴さんの書かれていることは至極まともで、かつ予想よりアグレッシブなものであった。 よかった共感できる。 とくに 「5. 料理する動物」に書かれている内容に頷きながらの読書だった。 『自我を最優先させるのは(中略)他者を思いやる気持ちがないのは、明らかに想像力の低下です。「それはね、おいしいものの食べすぎなんですよ」』 実生活でも、何もせず受け取る一方の人間は 自我を肥大させ要求をエスカレートさせる。2023/12/02