内容説明
「ああ、これかも!」ちいさな組織で「おもしろい」をつづけるために…ある出版社の代表がぼろぼろになりながら辿り着いた「一般論」の向こう側。ものづくりと経営をごっちゃにしすぎていた―。5年にわたり書きつづけた自身のテキストを読み返し、会社を運営する喜び、痛み、気づき、反省、実感…をあまりにも赤裸々に綴る。
目次
0 本書をお読みの皆さまへ
1 「おもしろい」をつづけるために
2 ごあいさつの記録(一年目のごあいさつ;二年目のごあいさつ ほか)
3 ああ、これかも…!
著者等紹介
三島邦弘[ミシマクニヒロ]
1975年、京都生まれ。出版社2社で単行本の編集を経験したのち、2006年10月に単身、株式会社ミシマ社を設立。「ちいさな総合出版社」を標榜し、ジャンルを問わず一冊入魂の本を刊行している。現在は、東京・自由が丘と京都市の2拠点で活動。2019年には新レーベル「ちいさいミシマ社」を始動。2021年10月より書店と出版社をつなぐ「一冊!取引所」の代表も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
114
著者はミシマ社創業社長。ミシマ社サポーターに宛てた「ごあいさつ」を集めたエッセイ集。ミシマ社さんの本と言うと、森田真生さん、松村圭一郎先生、仲野徹先生、中島岳志先生、最相葉月さん、久住邦晴さんなどの素敵な著者の名前が思い浮かぶが、この社長の思いが吸引力になっているのだと納得する。「一冊入魂」の精神、目標は会社を大きくしないこと、自転車操業がいいなどの方針がユニーク。売上の拡大や資本の蓄積を目指す社会の風潮に流されずに、只管「おもしろい」を目指す。「紙の本が好き」というこういう出版社さんを、応援し続けたい。2023/11/21
阿部義彦
21
2006年に大手取次を通さない「小さな総合出版社、ミシマ社」を設立した三島邦弘さんがウェブやミシマ社サポーターへの挨拶がわりの小冊子に発表した巻頭言と言うと大袈裟でそれよりもその時々に感じた所感と決意の様な雑文です。受注した書籍を満数出荷する「直取引」が身の上です。本来は当たり前ですが、取次経由では、弱小書店では(村上春樹等に顕著)30冊頼んでも良くて3冊最悪1冊なのが現状です。想定読者年齢は全ての歳で、一冊入魂の本作りを目指します。一般論に囚われないミシマ社の赤裸々な試行錯誤がそのまま味わえます。2023/05/13
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18
【ことばだけで生き、生かされている職業です(P.127)】「一冊入魂」!のミシマ社さん。小さな出版社って、こんなに大変なんだ…と改めて思う。しかし、どんな葛藤も「おもしろい」のスパイスにしてしまう、その地力がエグい▼読者は、出版業界の「ほんのちょっと当事者」になれているだろうか。政府が、書店を支援するため図書館の選書に介入…なんてニュースもある。でもそんな状況になる前に、読者にもできることがあるのでは?2023/08/01
FuSa
9
サポーターに向けて綴られていた会社の内情や個人の思いをさらけ出した、というか誠実に記した言葉を一冊にまとめたもの。最近ミシマ社から出た本を立て続けに読んで印象に残ってたので手に取ってみた。作り手の想いや葛藤が伝わってきていっそう読んだ本が好きになった。推し出版社みたいな感じ。2024/06/15
二瓶くん
3
出版の世界に身を置いて、その厳しさにさらされて、自分で出版社を作った三島さんの本。会社を作るまでの話が軽く書かれているのと、コロナ禍に会社として使っていたある新聞のような媒体に載せていたご挨拶集が載っている本。いわゆるエッセイ本になるから、読後全体を総括する感想を抱くことは難しかったが、いわゆるエッセイ本と言われるほどに「軽い」ようなものではなかった。どこかで見た言葉が並んでいる印象もなく、フラットな足取りでサクッと新しいことが書かれているなぁと思った。2024/06/05
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- 和書
- 吸涙鬼 講談社文庫