内容説明
あたふた族は、せわしない。なにを隠そうわたしもその一員である。デビュー直前までを描いた「上京物語」、コロナ前と後の日常(朝日新聞連載「オトナになった女子たちへ」)、「終電後」「のび太と遊んだ空き地」など味わい深い随筆作品…3部構成で贈る長編小説のようなエッセイ集。
目次
1 上京物語(部屋探し;家電を買う;ひとり暮らし ほか)
2 東京あたふた族(流星狩り;インフルエンザA型です;わたしが一番やりたいこと ほか)
3 終電後(本当の本当の本当の同時;英語で宿題;まじめに遊ぶ ほか)
著者等紹介
益田ミリ[マスダミリ]
1969年大阪府生まれ。イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
180
ミリさんの上京エッセイ。この本、好きだなあ。1日の終わりなんかに1話ずつ、じっくり読みたくなるような本。実際は面白くてあっという間に読みましたが。文体も優しくて癒やされ、わかりやすくて好きです。最初に借りたマンションの仲介をしてくれた不動産屋のおばさん、良い人な上にやり手だなとか、当時のイラストの売り込み方とか、喫茶店でのバイトの話等、右も左もわからないまま身一つで上京してからミリさんが現在に至るまでの話は興味深いです。色んな人の上京物語を知りたくもなりました。ご家族との思い出話も良かったです。2022/12/27
ふじさん
95
「上京物語」は、デビュー直前のひとり東京にやって来た頃の話。「東京あたふた族」は、コロナ前とコロナ禍の日々のあれこれ。「終電後」は、味わい深い内容の長めのエッセイ集。何気ない日常の一コマを描いた作品だが、懐かしさと切なさが入り混じるユーモア溢れる数々のエピソードに心が癒される。中でも、父親の思い出が心に染み入る。2024/06/24
イスタ
86
益田ミリさん25冊目。エッセイ本。ミリさんの自然体で ゆるゆるとした感じ、やっぱり良いよね。中でも「東京あたふた族」の章が好き。私もあたふた族だし、何かと共感することが多いと思ったら、同じ水瓶座。なんだか嬉しいな。落ち着いている大人はカッコイイよね、と思いながら、私もいつも あたふたしてます。でもテキトーの練習は必要ないくらいテキトーかも。財布日和に私も新調するし、コロナ禍で気分転換に花を購入するのも分かるなぁ。私もよく買っていました。ミリさんは無理をしたくない大人だから、自然体に感じるんだね。2023/02/04
ルピナスさん
85
26歳でイラストレーターになると上京を決め、出だしの部屋探しで断られまくる件、数ヶ月で新卒入社の会社を辞めた後の身近な誰かさんの話と重なる点があって、涙がじんわり。本書はミリさんの描き方によってあたふたどころかどっしり対処とも読めるけれど、文章に落とし込む前の現実はきっとあたふたバタバタ、あぁ濃い毎日だと思う連続だったのではないかと想像する。一番共感したのは「忙しい未来」。無人レジが普及する今、ミリさんは有人レジでお会計している時のあの程よい隙間時間、名付けてぼんやりタイムが恋しい。私も同じだなぁ。2023/01/27
Ikutan
82
今回はひとり東京にやって来た当初の話『上京物語』と、コロナ前とコロナ禍の日々を綴った『東京あたふた族』と、懐かしさが感じられる五つのエッセイ『終電後』の三つの章になっていて、全体からミリさんの人となりが伝わってきます。上京当初は焦ることなくのんびりと。そんな状況を楽しんでいたミリさん。でも人付き合いはきちんとされているから、自然と周りの人との関係も上手くいくんですね。コロナ禍でも花を買ったり、近所にピクニックに出掛けたりと楽しみを見つけるのも上手。ほっと心がほどけるミリさんのエッセイ。凝った装丁も楽しい。2023/01/24