内容説明
前田エマ、はじめての書き下ろし小説集。素朴な疑問を手放さず、現代の生を潔く鮮やかに問う、珠玉の2篇。「動物になる日」「うどん」を収録。
著者等紹介
前田エマ[マエダエマ]
1992年神奈川県生まれ。東京造形大学卒業。モデル、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど、活動は多岐にわたり、エッセイやコラムの執筆も多数おこなっている。本書が初の小説集となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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meg
25
前田エマさん、かわいいなあ。 この小説が愛おしい。彼女の笑顔のように穏やかで心地良い。2024/06/27
MIHOLO
11
いつかどこかで読んだことがあるような、ないような独特の表現で、わかるわかる!と同意したり、ここは苦手だと思ったりした本だった。主人公のきぃちゃんが習うピアノの先生は歌手もやってる、ドレスを着た写真が飾ってあるけど、偽物のようだ。普段は毛玉がついた靴下履いてるのに。とか、学校の作文に赤がいれられることに憤慨、絵には赤をいれないのに、とか。なんか、ちょっと益田ミリさんテイスト入ってない?と思ったら、ミシマ社発行だった!激しく納得!2022/09/28
たいちーらぶ
5
主人公きいちゃんの一人称で書かれた小説だが、著者の人間性が溢れた一冊だと思う。生きるのは不器用かもしれないけれども、自分の居場所はちゃんとある。忖度なしで「コレが好き」と言える。そんなきいちゃんがとても可愛い。『死んだ人の形見を貰えるとしたら匂いがほしい』日常の些細な出来事もそのままにしないところにドキッとさせられる。懸命に働き生きていく中での様々な葛藤は誰もが経験する。そんな気持ちに寄り添ってくれる優しい物語だった。2022/06/19
咲
4
昨日、斜里の「ヒミツキチこひつじ」で前田エマさんの朗読会があった。小さな温かい一軒家の一階で、小学校みたいな椅子に座ったり、地べたのお座布団に座ったりして、みんなで聞いた。朗読の前には演奏会があった。鹿のかぶり物をした男性。日中に浴びるように聞いた流氷を思い起こさせるような、水のせせらぎや氷の軋む音。からから、さらさら、ごつごつした、不思議な音。散々音に触れて、浸されてから、前田エマさんが「うどん」の中から「音」に関する場所を朗読してくれた。たくさんの、具体的な音。文字で音を聞いている感覚。2024/02/18
Hanako
2
物語は2つ。サクッと1日で読める本はわたしには珍しく、この本はスラスラと読んでしまった。特に後半のうどん屋での物語は、私も自営業の飲食店での経験があり、主人公に共感できる内容がいくつかあった。なんて事のないうどん屋さんの日常。いつものお客さん、変わったお客さん、優しい店長、美味しいうどん。お店のなかで混ざり合うさまざまな音が想像できた。またいつか読みたい。