内容説明
都市と田舎、高齢者と子ども、外来のシステムと土着の霊性、移住者と地元の人…。すべてをまたいで今を生きる、切実でおかしみあふれる日々のはなし。
目次
第1部 暮らしの体験(おお、周防大島;あなたの本業ってなに?)
第2部 暮らしの観察(ダンス・イン・ザ・ファーム;断水inda House;心と境;LIFE BALL)
第3部 空白期、そして今(こむぎ)
著者等紹介
中村明珍[ナカムラミョウチン]
1978年東京生まれ。2013年までロックバンド銀杏BOYZのギタリスト・チン中村として活動。2013年3月末に山口県・周防大島に移住後、「中村農園」で農業に取り組みながら、僧侶として暮らす。また、農産物の販売とライブイベントなどの企画を行う「寄り道バザール」を夫婦で運営中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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booklight
39
【読友本】ギタリストが瀬戸内の島に移住して農家とかを始める。なーんか問題意識が違うと思ったら、全感覚際への参加について書いているところでわかった。いわく、お金の順番が違うと。やりたいことがあって、最後にお金がくる。なるほど。島に住むのも、農家をやるのも、坊主をやるのも、イベントの手伝いをするのも、政治のことを考えるのも、お金のためではないと。では何か、ということを書いていないのもいかにもミュージシャンという感じだが、面白い。確かにお金は大事で便利だがそれが目的ではないな。必要ではあるが十分ではない、か。2022/03/01
Sakie
11
地方移住の、ひとつのケース。ミュージシャン稼業が行き詰ってからの転身である。周防大島への移住も農業も、著者より奥さんに先見の明があったと言うべきか。移住し、比較的若手として地域の担い手となり、人の役に立つ。だけなら、こういう人生でなければ私も選んだかもしれないと思う。しかし、それだけでなく人を集めるイベントを企画して、地域や個人の営みを活性化し、またタルマーリーや森田真生氏ら、志向の合った人々が繋がっていくダイナミズムが、私には縁遠いものと感じる。ともあれ、やれそうなことをなんでもやってみる心意気は大事。2024/01/13
ウクレレで歌う
8
コロナ、子どもの神隠し、本土と島を繋ぐ橋の事故による断水という移住後の非日常と、それ以外の穏やかな日常がわかりやすく書かれている。田舎の良いところも悪いところもすべてゆったりと受け止めて、楽しみながら子育てをしている明珍さんを素敵だなと思う。周防大島に行きたくなった2024/09/27
Koji Harasawa
6
著者同じ年パターンが最近多い気がする。同じ年月を過ごしてきたから、染みてしまうのだろう。それは分かる。バンドマンから農。この流れもすげえ分かる。山口県周防大島という場所も行ってみたことがないが、だいぶ良い。ヤギを飼いたい。2021/05/28
ゴロチビ
4
"ミュージシャンだった人の田舎暮らし本"なんて、読む前から中味は想像できると思っていた。文章も、まあ読みにくいし。で、予想通り途中で放り出しそうになったんだが、最後まで読んでしまったのは何故だろう。瀬戸内海の人口1万7千の島で都会育ちの著者が体験する出来事は、これまでの自分の人生と重なる部分が全くと言っていい程無かったからかもしれない。初めはとても不器用に見えた著者だが、実は結構器用で(ギタリストだし)、何より未知の世界に物怖じせず飛び込んで行く心の柔らかさを持っていたこと。そして絶対、奥さんが偉いのだ。2021/09/04