内容説明
父の通夜に、久々に集まった家族と親戚。ぎこちない空気の中で、母は一風変わった「通夜ぶるまい」の料理を淡々と出していく。目玉焼き、焼きいも、ピザ…一品ごとに父との時間が蘇り、やがて家族が知らなかった「家族の秘密」が浮き彫りになっていく…。
著者等紹介
常盤司郎[トキワシロウ]
福岡県生まれ。映画、CM、ミュージックビデオの監督・脚本をはじめ、サザンオールスターズ初のドキュメントムービーなど様々な分野で活躍。実の父との関係を綴った短編映画『クレイフイッシュ』(10)がShort Shorts Film Festivalで最優秀賞と観客賞を開催初のダブル受賞。その他、多くの短編映画が国内外で高く評価される。『最初の晩餐』(19)が第34回高崎映画祭で最優秀監督賞ほか最多4部門を受賞。また、同タイトルで小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikada
19
再婚によって、3人家族と2人家族が5人家族になった一家を描く。家族ってもともと面倒くさいものだけれど、再婚や連れ子という要素が入るとますます複雑になる。味噌汁、ピザ、焼き芋といった食事の思い出を描きつつ、家族が家族になっていく過程を描いている。少年時代に親が再婚することなんてこれまで想像しようもなかったけど、もし同じことが起きたら、自分は主人公に近い行動をとるんじゃないかという気がした。2020/09/06
fkmk0523
7
染谷将太さん、戸田恵梨香さん、斉藤由貴さん、永瀬正敏さんらによる映画「最初の晩餐」の小説版。子供達がずっと抱えて成長した兄との別れの真相について、最後のあたりで衝撃の事実を義母から語られ…読み手の私が受け入れられないまま、静かにジ・エンド… 義母の後悔してないのと言いきったくだりに、衝撃を受けるくらいの脱力感… 誰かの犠牲の上に成り立つ幸せはないんじゃないの?愛って何?家族って何?と、考えさせられる作品でした。2022/12/27
ちゃんこ
5
本屋でタイトルに惹かれて購入。ノベライズらしいが、しっかりとした文章ながら、元が映像ということもあって情景が浮かびやすく、締め方も良かった。ありきたりな設定といえばそうだけど、細かい部分を見ると新しい設定があり、そこも面白さに繋がっていた。家族とは?という問いに向き合って、料理を通して家族を見出していく流れはすごく綺麗。2023/06/28
エル
5
子連れ同士の2つの家族が再婚して一つの家族になっていく。料理を通して。そして父の通夜で思い出の料理が振る舞われ、家族たちは昔に思いを馳せる。あの時の感情、言いたかったこと、家族になった期間、そして家族になるために父が自分に課したこと。いいお父さんじゃん…2021/03/15
ムムリク・ミ
2
同名の映画のノベライズ。映画は観ていないけれど、キャストをおさえてから読みました。設定がブレてるかな?と思う箇所もありましたが、もう一度読んだら自分の勘違いに気づくかもしれません。途中は泣きながら読んでいました。キャストをおさえてから読んでよかったです。バッチリなキャスティングだと思います。グッとくるお話で、読後、内省してしまいました。2020/03/22