内容説明
米国東部のアパラチア山脈に沿って続くアパラチアン・トレイル。全区間スルーハイクを行った著者は、足元に伸びる道に疑問を抱く。「トレイル=道」はどのようにできたのか?発展する道とすたれてしまう道の違いとは?根源的な疑問への答えを求めて、世界各地をめぐり、はるか昔の化石や動物の行動に関する最新の研究成果を求め、ネイティヴアメリカンの生活と思想、さらに東洋哲学の「道」に至るまでを訪ねる遠い旅に出た。歩くことを通じて、人間の存在と行動の起源に迫る。2017年全米アウトドアブック賞受賞作。
著者等紹介
ムーア,ロバート[ムーア,ロバート] [Moor,Robert]
ミドルベリー大学環境ジャーナリズム・フェローシップ受給者で、いくつかのノンフィクション作品に対し受賞歴がある。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州ハーフムーンベイ在住
岩崎晋也[イワサキシンヤ]
京都大学文学部卒業。書店員などを経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
60
包括的実践的にtrailを語る本。著者(アパラチアントレイル3500キロを踏破)は古代の生物の這ったあとからアリや毛虫(「こっちだ、こっちだ、こっちだ」)、象など動物を経て人間へとtrailの現場を訪ね、先住民の牧畜や狩猟を経験し、米国での自然との対峙の変遷(先住民、開拓者、工業化そして20世紀初頭のソローらの思想)を論じ、様々の場所(カナダの北端へ、モロッコへ)を魅力的な人々と歩く。最後に登場するずっと歩いている人は日本なら世捨て人と思われよう。とてもアメリカ的な明るさと知識に満ちた本で楽しく読んだ。2023/05/02
yyrn
17
墓参りを済ませたお盆休みの午後。強く降る雨音を聞きながらこの本を読んでいると、以前、登山中に遭遇した悪天候時のことを色々と思い出した。休みを潰してなんでこんな悲惨な目に遭っているんだろうという思いは、でもしばらくすると忘れて、誰もいないトレイルから垣間見えた素晴らしい眺めを思い出してはまた山に行きたくなる。その繰り返しだった。自然という非日常の中に入っていく行為は、期待感とともに不安もあるが、人の辿った道を歩いていれば必ず元の居場所に戻れるはず、という安心感が初めての山道にもあったように思う。2018/08/16
いぬたち
15
アメリカ東部を縦断するアパラチアン・トレイルを踏破するインテリジェンスな著者が道とは何かを考えた一冊。進化の道、実際に生物が通った道、どのようにアパラチアン・トレイルが作られたかという道(経緯)などと著者は語っているがとりとめのない文章で掴みづらい内容となっているが旅ってこんなもんかもしれない(語彙力行方不明)。博学だけでなく実践的に道を感じて紡がれた本だが読了後もなんだか判然としない感じがするがそれはまだまだ道が続いているということなのかな・・・?2021/08/13
ポレ
14
なんとも評価の難しい本。アパラチアン・トレイルをスルーハイクした経験を持つ著者が、道の存在を考察する旅の紀行文を軸に、道とは何か、道の起源とは、歩くことの意義を追究する。素材としてはたいへん魅力的なのだが、とにかく枝葉の話題が多くて、話の筋を見失いがち。選択の自由に疲れたひとびとが、トレイルという一本道をハイキングするのは、選択から開放され精神的な自由を得られるからだと著者は言う。一本道を無我の境地で歩く心地よさを、この作品から感じることは残念ながらできなかった。2018/06/20
アヴォカド
13
レベッカ・ソルニット『ウォークス』と姉妹のような兄弟のような1冊。…と思ったら、謝辞にレベッカ・ソルニットの名前が。人はなぜ歩くのか、道はどうやって出来るのか。面白かった。2018/05/21
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