内容説明
「部長職を解き調査役を命ずる」という四月一日付の辞令を受けた主人公は、その日から机の配置も変わり部下のいない社員、いわゆる窓際族になった。しかし社内の権力闘争から再び表舞台へ上がるが…。権力闘争に巻き込まれるも同僚への思い遣りの心を大切にし、「義を見て為ざるは勇無きなり」と義わ貫く主人公の生き方は、聖書の言葉「日は昇り、日は沈みあえぎ戻り、また昇る」のごとく転変を繰り返す。本作品は、組織の掟と、義や情の間に揺れ動き翻弄されながらも、「人間としてやるべきことは何か」を貫いた一人の男の再生の物語だが、定年後の人生をどう生きるか―という、誰もが抱える後半生の大きなテーマに光を当てた物語でもある。
著者等紹介
砂原和雄[スナハラカズオ]
1938年、岐阜県飛騨市生まれ。産経新聞論説委員、清水建設社長室、明海大学講師を経て、文筆活動に専念。日本記者クラブ会員、日本エッセイスト・クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ドアラ
3
定年をテーマにしたフィクション。主人公57歳は、銀行から転籍後の第二の職場の証券会社で役職定年を迎え、リース会社社長を打診されるが、会社の不透明感、会社員人生潮時の想いで辞退する。それでも組織から離れられず、金融に関わる不祥事、組織の権力闘争に関わっていくこととなる。夢を追い、王道を行く姿勢の潔さが清々しい。2024/03/16
ハザマー
1
銀行からの出向、証券会社のサラリーマン部長がその子会社への銀行からの不正融資絡みを解いていくストーリー。 企業の系列人事、管理職、役員、社長に降り注ぐ過失。2022/12/24