出版社内容情報
和食器とコーヒー豆の店「小蔵屋」を営むお草が拾った「たすけて」と書かれたメモ。助けを求めているのは、誰? シリーズ第9弾。
内容説明
朝の散歩の途中、“たすけて”と書かれたメモを拾ったお草。その日の夕、紅雲中の女子生徒が行方不明になる。その後、生徒は家出と判明し一件落着するが、では助けを求めているのは、いったい誰―。
著者等紹介
吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。08年、同作を含む『紅雲町ものがたり』(文庫化に際し『萩を揺らす雨』に改題)で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
133
小説というのは、エンタメであっても、いや、エンタメだからこそ、服装、食事、食器、風景描写など、細部に気を配らなくてはいけないのだなと、特にこのシリーズは感じさせる。センスと教養、小説家に必須の条件。お草さんは事件を呼び寄せる体質なのかな。聖ちゃんみたいな子は、紅雲中の校長のような人物を易々と飛び越えてゆくのだろうな。それにしても、久実の恋愛ってうまくいきそうになると、すぐに邪魔が入るな。2023/01/10
とし
102
紅雲町珈琲屋こよみ「月夜の羊」10巻。朝の散歩で(たすけて)というメモを拾ったお草さん、紅雲中の女子生徒が行方不明になる事件が起こるが、女子生徒とは家出と判明するが、メモが気になるお草さん、郵便物の溜まった家の中で倒れている老女を見つけ、物語は意外な方向へ。久美さんと公介さんの関係気になりますね。次巻が楽しみです。2022/03/30
ゆみねこ
89
散歩中に拾った「たすけて」のメモ。女子中学生の行方不明事件と解決、近所の老女が倒れ救急搬送、お草さんのおせっかいぶりは相変わらず。久実のプライベートも色々ありそうで。親子や家族の問題は立ち入れない事情もありお草さんのスタンスは変わらず物語もこの路線で続くのだろう。中学校の校長、最低…。2021/11/24
itica
77
コーヒー豆と和食器の店を商う草は、ままならない日々を送る人たちを引き寄せてしまうかのように、他人の人生に関わってしまう。お節介だなあと苦笑いする反面、妙に厳しい(冷たい?)面もあり、これが草の持ち味だったと思い出す。時にはお節介が人の命を救うこともあるけれど、快く思わない人も同数くらいいる時代だ。人との距離は本当に難しいな、と今回も色々と考えさせられてしまった。 2021/11/20
ひさか
74
2021年10月文藝春秋刊。書き下ろし。シリーズ9作目。引きこもりと家族の問題を軸に草さんのストーキングのようなお節介が始まり、いちおうのハッピーエンドな結末までの息をつかせぬ展開は見事。中学生の聖ちゃんが個性的で格好いい。2022/04/15