内容説明
被爆者の体験を録音し記録する作業に取り組んでいた著者は、長崎で被爆した吉野啓二さんの話に深い感銘を受ける一方で、それとは矛盾するある思いを抱いた。吉野さんの語りを、自分はどのように受けとめたらよいのだろうか―。被爆者という存在のありよう、原子爆弾と人間との関係の本質を問いかける『未来からの遺言』と、これをもとに創作された『シナリオ 被爆太郎伝説』との合本。全6巻シリーズの第1巻。
目次
未来からの遺言(出会い―集会場にて;吉野啓二被爆を語る;「原子爆弾の効果」―私の被爆者論;暗転;被爆太郎の誕生;三峡の村で―死者を死せりというなかれ)
被爆太郎伝説(被爆太郎伝説)
著者等紹介
伊藤明彦[イトウアキヒコ]
1936‐2009。元長崎放送記者。被爆者の「声」を聴き、伝えることに人生をかけた。1960年、早稲田大学第一文学部卒業、就職。68年、ラジオ番組『被爆を語る』を企画・提案、初代担当者。70年、退職。71年、東京で「被爆者の声を記録する会」を結成。早朝・深夜のパート労働に従事しながら、79年までの8年間で全国21都府県の被爆者およそ2000人を訪問、半数には断られ、約1000人の「声」を聞きとり録音。これらをもとに、音声作品『被爆を語る』(オープンリール版/カセットテープ版)を制作、全国の平和資料館・図書館等へ寄贈(13か所/944か所)。晩年はビデオカメラにより、ふたたび被爆者を取材。08年、吉川英治文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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