内容説明
かつて大きな街にも小さな町にも住宅街のはずれや田畑の真ん中にもストリップという伝統芸の“小宇宙”があった。早乙女宏美が愛してやまない街と人と劇場を訪ね歩く―踊り子自身による“ピンク文化”の風土記。
目次
第一章 浅草(浅草との出会い;焼け野原から夢を売る街;浅草ストリップ;転換期;復活への望み)
第二章 新宿(消失と再生の反復;額縁ショウから裸ショウへ;街の開発;変容する性;非合法化の流れのなかで)
第三章 船橋(大戦景気と大震災;もっともハードな劇場;さまざまな人間模様;復活をかけて)
第四章 札幌(遊廓からの出発;引き揚げ者の街;北の楽園;一人の踊り子の舞台人生;人と人の交わりを求めて)
著者等紹介
早乙女宏美[サオトメヒロミ]
1963年、東京生まれ。2014年、東京から札幌に移住。現在、パフォーマー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
118
登場する街のひとつに住んで、ストリップ劇場の前を歩いたこともある。何してるのかと子供心に興味津々だったが、繁華街とも違う空気の異質さも敏感に察していた。あの時に中ではこんな人間模様が繰り広げられていたのかと感じ入ったが、北野武や渥美清が修業の場に選んだような独特の文化が育まれていたのだ。他の性風俗とは何かが違う単純な欲望のはけ口ではなく観客の想像力に訴える部分が、経営者やスタッフ、ダンサーを含めてこの世界に入りたいとの意欲をそそったのか。ある意味かなり排他的だからこそ、細々ながら長く生き残ってきたのかも。2025/04/28
fwhd8325
47
関東のストリップ劇場に札幌編を追加した作品。渋谷の道頓堀劇場へは何度か通いました。その頃は東京バッテリー工場にいた中村ゆうじさんが幕間のコントで出演していました。ストリップよりもこのコントの方が印象に残っています。私が見ていた頃は、斜陽に向かっていた頃できわどい出し物も多かった印象です。ただ、風俗としてでなく芸術性も高まってきた今、文化として反映してほしいと願います。2025/02/27
あじ
22
【ストリップ劇場】に焦点を当てた内容なので、関係者に対する聞き取りという点は弱い。しかし筆者はポルノ女優を経て、21年間踊り子として実際に舞台に立っていた方だ。生の経験を肉声として挟みながら、ストリップ劇場の最盛期と衰退を緻密に調べ上げている。本書で引用されることが多かった小沢昭一氏の著書を以前読んでいたこともあって、ローズ秋山夫妻や蝋燭攻めの既知に興奮しつつ、新宿の有名人タイガーさんの一コマにきゅんとした。◆雑誌連載「さよならストリップ劇場」に加筆し札幌編が書き加えられている。2025/02/27
Shinya Fukuda
2
ストリップ劇場のある二つの街とかつてあった二つの街が語られる。浅草、新宿の街の歴史からは昭和B面史の香が漂う。船橋、札幌はローカルなのでその土地独特の文化を知ることができる。著者は表現者として舞台に立ってきた人。風俗でありながら接触を伴わない微妙な位置にある。これが時代によって大きく振れる。額縁からマナ板まで。その中で如何に客の心に訴えるかに苦心してきた。今のストリッパーは地下アイドルのようだ。今後の業界はバーレスクやポールダンスかアングラ劇に吸収されて劇場は無くなるのではないかと思う。労作だと思う。2025/03/15
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