感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
30
真面目な人、言い換えれば真剣勝負な人だと唸る。阿久津隆はフヅクエの経営や読書、音楽や日々の生活に愚直に対峙し、そしてそこから得たものをあくまで等身大の語彙と平熱の文体で率直に記す。概要だけ語ればなんてことのない日々の出来事の羅列なのに、なぜこんなに病みつきになってしまうのか(この「病み」はジョン・アーヴィングの小説を彷彿とさせられる)。飾らない文章から生まれる、ところどころ微妙に毒を込めつつも日々をそれ自体祝福しているような文章にぼくも著者を応援したくなった。そして吉田健一やプルーストに手を伸ばそうかとも2023/12/18
keichato
2
よかった。毎日この日記本をじわじわ読むのが日課になっていた。というかこの先も買ってあるので引き続き日課として続けていくつもり。とにかく良い。人の生活とか考えてることとか、そういうことが感じ取れるのが日記の良さかなと思う。バナナムーンリスナーなので、山口くんについては驚き笑ったし、入籍周辺の感じはとてもよかった。自分が妻と入籍した頃の、あの、普段の生活の端々にも幸せが染み込んで良いるようなあの感じ。それが感じられてよかった。2024/07/15
駒子
2
評論みたいなものも好きなのだけど、こういう生活の一部に読書が染み込んでいる日記も良いなあと思った。『ライオンを殺せ』が面白そうだなと思ったけど買うのをやめちゃったのが悔やまれる。2024/04/22
はやしやもり
2
仲のいい架空の親戚のお兄ちゃんが本を読むことをコンセプトにしたカフェを始めた。そのお兄ちゃんの本を店でのんびり聞いてるような、著者さんの書き方が話し言葉のようで、むき出しだけど肩肘張らない本だった。相槌を打ちながら知ったかぶりをした書名を、トイレに行くふりをしてこっそりメモって、大変そうだけど面白そうな仕事だなぁとか、お店のホームページを見たりする。 せっかくなので今度そんなお兄ちゃんに会いに、お店に行ってみたくなった。2023/07/18
バーニング
1
3冊目と4冊目は同時刊行だったため続きがすぐに紙で読める、という趣だが、それにしてもこの4冊目はようやく2018年が終わるものの2019年の2月までしか収録されていない。2023年に刊行する日記なのでコロナ禍の頃の記録があるのだろうかと思ったが、それよりさらに前の記録が続いていくのが4冊目である。それでも日々がただ続くわけではなく、年越しという誰にでもあるイベントの風景が、味わい深く書かれている点が印象に残った。2024/01/17