内容説明
職場、就職活動、フランチャイズ店舗、ストライキ現場、学校で生きるために“希望”を求めて闘う人々が交差する10編の連作小説。
著者等紹介
チャンガンミョン[チャンガンミョン]
張康明。1975年、ソウル生まれ。延世大学都市工学科卒業。建築関係で就職したが肌に合わず、新聞社「東亜日報」に入社し新聞記者となる。2011年、長編小説『漂白』で作家としてデビュー。現在は退職し文筆業に専念している。社会批評からSFまで幅広い作品で知られ、韓国文学に新しい活気を吹き込んでいる。ハンギョレ文学賞、秀林文学賞、済州4・3平和文学賞、文学トンネ作家賞などを受賞
吉良佳奈江[キラカナエ]
1971年静岡県生まれ。法政大学講師、東京外国語大学日本語学科、朝鮮語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
19
ひゃーとか、ヒーとか、わあ!とか、思わず変な声を出しながら読んだ10編の連作小説。うちの1編「音楽の価格」の中で、最近は『鳥は飛ぶのが楽しいか』という本を連作小説の形で書いているという著者を思わせる僕が、その内容を2010年代の韓国で働いて食っていく上での問題をテーマにして短編集を作っています。就職、解雇、リストラ、自営業者、再建築みたいなモチーフで短編を一つずつ書こうと思っています。全部で十篇で…などと説明している。いやしかしまたすごい本を読んでしまった。 2022/05/25
endlessdiscover
0
韓国経済の現実を題材とした作品集。日本よりも韓国のほうが住みにくい(生きていきにくい)のではないかと思ってしまう。でもバイトをクビにしたり、待機命令が出たり、フランチャイズの問題、は日本も似たり寄ったりだ。組合のストとかデモについては、日本人は去勢された牛のように静かだ。そうした意味では、まだまだ韓国のほうが正直に自分の気持ち曝け出すだけ人間らしいと感じる。いろいろと考えさせられる良い、面白い本だと思う。2022/05/14