感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumicomachi
4
ひと口サイズの小さな焼き菓子のことをプチフールと言う。その一丁目に住みたいという題名の著者第一詩集は、あやつきしろの可愛らしく美味しそうなイラストに包まれて幸福そうだ。だが願望は、いまだ叶わないからこそ甘美なのだ。あるべき美しく平和な世界に、いまだ手が届かないことへの静かな怒りを底に湛えながら、言葉はあくまでも穏やかで切ない魅力を放つ。好きな詩「アイスクリーム」「飴」「世界」「みず」「ホームイン」「月餅」「十一月」。特に「アイスクリーム」と「十一月」は声に乗せて味わった。装丁は花山周子。2023年8月刊。2023/08/31