内容説明
落第生ベンヴェヌート少年は、家庭教師が勉強がわりに話すお伽噺に魅了され、一歩で30km進む魔法の靴を家庭教師から奪い、お伽話の世界の探検に出発する。しかしそこで出あうのは、没落したアラジン、赤ずきんの家で下男として働く狼など、お伽噺とはかけ離れた状況の登場人物ばかり!少年は夢の世界との落差にがっかりしつつ、後を追ってきた家庭教師とともに、城を追われたシンデレラの救出に向かうが…。イタリアの演劇人、挿絵画家として著名な鬼才による諧謔と皮肉に富む小説。本邦初訳。
著者等紹介
トーファノ,セルジョ[トーファノ,セルジョ] [Tofano,Sergio]
1886~1973。イタリアの俳優、演出家、挿絵画家、漫画家。1909年に役者デビュー、複数の劇団の共同座長を務め、国立演劇学校で後進の指導にあたるなど、戦前から戦後まで舞台、映画、テレビで活躍。洗練されたユーモアを特徴とする「ブリッランテ」役を得意とした。STOのペンネームで挿絵を手がけ、1917年に雑誌『コリエーレ・デイ・ピッコリ』に発表した漫画『ボナヴェントゥーラさんの冒険』のシリーズが大人気となる
橋本勝雄[ハシモトカツオ]
1967年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学大学院博士後期課程単位取得退学。現在、京都外国語大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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oldman獺祭魚翁
41
献本 なんというか思っていた内容とはかなり違った物語だた。どうも同じコメディー映画を見てもイタリアの物は笑えない自分がいる。 おとぎ話の世界の後日談なのだが、どの話も「めでたし、めでたし」で終わった後は厳しい現実に晒されるといった内容なので、笑えるというよりは、このエピソードは何を意味しているのだろうと考えてしまう。 ウーン 特に後半の赤ずきんやシンデレラのエピソードはガッカリというより愕然としてしまう。2021/11/10
かもめ通信
18
小学校の卒業試験に3回も落第したベンヴェヌートに手を焼いた両親は、家庭教師をつけて勉強させようとするのだが、来る人来る人すぐに根を上げて辞めてしまう。父親が探してきた13番目の家庭教師は、勉強をそっちのけでおとぎ話を語り出すちょっと変わった人だった。ところがベンヴェヌートときたら、こともあろうにその家庭教師から魔法の7リーグ靴を奪い、一人勝手におとぎ話の世界に探検に出てしまうのだ。しかしそこでベンヴェヌートが目にしたのは、おとぎ話に登場する有名人たちのがっかりな姿で……。2021/10/12
ビッチュウ
2
面白かった。 イタリアの1920年代頃に児童文学。俳優や演出家、挿絵画家などマルチな作者で、挿絵も作者自身のもので数も多く挿絵もかなり好き。家事大好きシンデレラとか踊る仕立て屋とか良くて好み。主人公の少年ががっかりするおとぎ話のその後たち。少年心に思い描いた通りじゃない、ままならない世界を毒々しさや露悪さは無しにユーモアでまとめた良い作品。サクッと読めて楽しかった。逆がっかり!2025/12/12
しざわ
2
おとぎ話の残念なエピローグを巡る少年の話。童話と現実を合わせたブラックユーモア的な作品だと、ミュージカル「イントゥザウッズ」を想起するけどあちらより全然健全なので小学生でも読める。2025/11/01
よだみな
2
結末にびっくりしました2025/07/04




