著者等紹介
プライス,スーザン[プライス,スーザン] [Price,Susan]
1955年、英国ウェスト・ミッドランズ生まれ。18歳で作家デビューし、1980年代に歴史ファンタジーで高く評価される。フォークロアをベースにした作風が特徴。1987年に『ゴーストドラム』(The Ghost Drum)でカーネギー賞、1999年に『500年のトンネル』(The Sterkarm Handshake)でガーディアン賞を受賞
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年生まれ。翻訳家、英米文学者、法政大学社会学部教授。フィクション、ノンフィクション、児童書など、多ジャンルにわたって翻訳を手がけ、特に海外のYA(ヤングアダルト)作品を精力的に翻訳し日本に紹介。訳書は約500点(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あたびー
39
ゴースト三部作の1。奴隷の娘チンギスは魔法使いの婆に引き取られ弟子として育てられる。一方、皇帝と奴隷女の間に生まれた皇子サファは、将来臣民に愛されるという予言を恐れた父王によって塔に幽閉されていたが、命の瀬戸際でチンギスによって救い出される。ゴーストドラムとは読めない文字の書かれた魔法の太鼓で、問えば心に答えてくれる。淡々と語られる伝記物語は工芸作品のような佇まい。バーバ・ヤーガの家の様に脚のある家などフォークロア色がふんだんに盛り込まれている。2023/07/30
北風
18
読んだのはもう三十年くらい前じゃなかろうか!? まさか三部作だったとは……。王子様版ディズニーラプンツェル的。何故か私は、金の鎖に繋がれた語り部の猫が登場するのは、「ねじ巻き鳥」だと思っていたんだよな。とにかく、猫の語り部が印象に残っていて、最後も覚えていた。物語はロシアあたりが舞台に見えて、とてもインディオっぽい魔術的な世界観。でも、魔法使いの家はとてもロシアっぽい。イギリス作家だけど。続編はもっと登場人物に焦点を合わせて欲しいな。夜の写本師な展開に期待。2020/08/11
タカラ~ム
14
約26年ぶりに新訳改定版で刊行されたファンタジー小説。雪と氷に覆われた冬の国で、残虐非道な皇帝とその後釜に座る同じく残虐な女王。生まれたときから高い塔の小部屋に幽閉されている純真無垢な皇子。そして、ゴーストドラムという魔法の太鼓を操る魔法使い。登場人物たちが入り交じり、物語は展開していく。リズミカルでとても読みやすく、盛り上がりどころもサプライズもある。本書は三部作の第1部とのこと。第2部以降は今後クラウドファンディングで資金を集めて翻訳刊行されるという。続きが読みたいから支援します!2017/06/12
朝比奈さん
13
古典作品のような語り口。でも古典じゃないんだよね? あっさり不幸が訪れ、あっさり人が死ぬ。そこが今日日、古典ぽく感じるのかな。「愛・努力・友情・勇気!→報われてハッピーエンド!!」みたいなファンタジーが量産されているので、この真逆の温度感、読んでいて心地よかったです。続編もあるんだね。読んでみたい。2017/07/27
よきかな
9
本屋で偶然出会い作者の名前に見覚えがあったので手にとってみた。北の国を舞台に繰り広げられる甘さのないファンタジー。カシの木に金の鎖で繋がれた猫が語る物語という体裁。情景描写や説明がやや少ない気もするが、全てが簡潔で残酷で美しいと感じた。「〜の首をはねた」とか「首をはねられてしまった」という感じで登場人物が退場していく。産まれたときから塔の小部屋に閉じ込められている皇子サファの描写も容赦がなくて、この皇子の結末が知りたくて最後まで読んだ。続きはクラウドファンディングで資金を集めて出すとか2017/11/30