内容説明
1920年代、北京。ひとりの少女の瞳が映しだす激動の時代に生きる人びとのささやかで、小さな物語。台湾文学の祖母・林海音による不朽の名作。本邦初訳「序章にかえて」を加えた完全版・新訳。
著者等紹介
林海音[リンカイイン]
1918年~2001年。台湾苗栗籍の客家人。大阪で生まれ、台湾を経て、1923年から1948年までを北京で過ごす。その後は夫、3人の子どもと共に台湾に戻り、台北に定住した。1953年から編集者として活躍しつつ、エッセイや小説、児童文学などの創作活動を行った。1960年『城南旧事』で作家としての地位を確立している。1967年に文学雑誌『純文学』を創刊、翌年純文学出版社を設立。作家の抜擢や育成に携わり、台湾文学に多大に貢献した。『婚姻的故事』、『暁雲』、『冬青樹』(すべて未訳)など多くの作品が中国圏で広く読まれており、特に『城南旧事』は多くの教科書に採用されている
大原聖蘭[オオハラショウラン]
華東師範大学大学院外国語学部日本語学科修士課程修了、日本語言語文学修士。専門は第二言語習得、会話、自律学習。現在、北京大学外国語学部日本語学科日本語専家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Timothy
8
台湾文学の祖母 林海音(リン・ハイイン)。幼少で北京に移住しており、本作はその北京時代の思い出をもとにした自伝的小説で、7歳から13歳まで、各話主人公が年を重ねていく短編集。出会いと別れを経て大人になっていく姿が描かれている。主人公の心に小さからぬ位置を占め、影響を与えた家の外の出会いを、親は時に子を思って排除しようともするもの。子供時代を懐かしく想い、胸がきゅっとするような作品。1948年に25年暮らした北京を離れて台湾に戻ると、台湾籍かつ中国語の堪能な著者は日本語教育の長かった現地で重宝されたという。2024/12/27