感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんえい
4
国語教育の二大巨頭が、お互いに対するリスペクトを持ちながらもバッチバチに批判しあう。最後の方は宇佐美寛が若干投げ出した(呆れた?)感がある。 発問を巡る2人の対立は特に刺激的だった。「凡百の教師が教材文の方向だけを見て自分の教材文解釈だけで発問する。ー自力での予習を助けることはしていない」(53頁)「自分一人の思考によって読み書きする能力は、(中略)発問指導(問答)というすじ違いの領域に逃避することによってでは育たない」(190頁)という宇佐美の発問不要論は自分に突き刺さる。2025/06/15
たかC
3
野口氏の主張は折衷論です。それは一貫性のない一番悪い考え方です。 さらに、主観的な感覚主体で気分本位の授業展開を行っておられるように見えます。その時の教室の風向き、潮の流れで、どこへ行くか分からないそんな授業を、それこそが冒険なんだ醍醐味なんだというようなロマン感覚でとらえておられる。しかも最終的に教師である自分の決めた最終地点だけを子供らに踏ませるようにあらかじめ決めてあります。 生徒の予め持っている考えを引き出すのが教育です。教師の考えを子供に代行させることは、教育ではなく主人と奴隷間の強制労役です。2020/02/14
taku
2
宇佐美先生の厳しい言葉に野口先生がどう切り返すか? 当たり前のことだが結論はでない。宇佐美先生は大学生の教育を主眼におき、野口先生は小・中学生を対象にしている。 幾つかの対立点があったが、最後まで発問がよいのか悪いのかはわからず……。 野口先生の方が誰にでも分かりやすい文を書いているように思った。 最後の章は大いに納得できた。変わるのは難しい。2019/09/15
もこちゃん
1
批判しあうのは素直に面白かった。が、両氏の力の差は正直大きかったのではと思う。たとえば「海の命」という教材文をめぐって宇佐美氏の主張に対する野口氏の批判が展開されるがそこは野口氏の(宇佐美氏の主張文に対する)誤読ではないかと思われた。野口氏は宇佐美氏の本を「熟読した」というがそれであの誤読はどうかと思う。宇佐美氏が後半元気がなくなっていちいち取り合わなくなったような感じを受けたがそれも分からないでもない。もっと長大な本にして色々なことを議論しあってくれても十分読みたかった。2024/02/06
U-Tchallenge
1
刺激的な一冊であった。互いの解釈をぶつけ合い、批判しながら進んでいく。このような体験をすることはなかなかない。「どっちも言い分があるし」のようなことを言い、話をやめてしまうことが多い。それではきっと何も「深まる」ことはないのだろう、と感じた。それほど難しい言葉を使われているわけではないので、文章自体は理解できた。もちろん、自分なりの解釈を持つことができた、とは言えないが。どちらかと言えば、野口先生の考えに納得できたところが多かった。現場にいる者は、このような議論に触れるということで刺激をもらえるだろう。2020/12/25