目次
1 細胞の全部
2 ある限り
3 桃缶
4 涼しい切株
5 ばいばい雲雀
6 月へ吹く
著者等紹介
神野紗希[コウノサキ]
1983年、愛媛県松山市生まれ。高校時代、俳句甲子園をきっかけに俳句を始める。2002年、第1回芝不器男俳句新人賞坪内稔典奨励賞受賞。2003年、第一句集『星の地図』(マルコボ.コム)刊。2004年から6年間、NHK「俳句王国」司会を担当。2012年第二句集『光まみれの蜂』(角川書店)刊。2015年より現代俳句協会青年部長。2018年、『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』(愛媛新聞社)により第34回愛媛出版文化賞大賞受賞。2019年、第11回桂信子賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けんとまん1007
34
なんて優しい、柔らかな句集なのだろう。読んでいるだけで、こちらまで温かな気持ちになる。句に詠われている情景から想像していたこと。あとがきを読んで、なるほどと思った。結婚され、出産され、育児の中で詠まれている。句集のタイトルの「すみれそよぐ」・・・温かな空と空気の中、そよ風ですみれが揺れ、香ってくるようだ。2022/03/18
しろちさ
5
結婚出産育児を経験した8年間の句集。正直全部はわからないけど好きな句がたくさん。目に浮かぶよね。 夏という一字の走り出しそうな/女子大やTシャツめくり臍扇ぐ/どの名前呼んでも寄ってくる子猫/こんな日を小春と名付けたる人よ/読点のようにおでんの練り辛子/抱く便器冷たし短夜の悪阻/冷麦を啜り保育所見つからず/風邪の母覗き込む子の涎降る/蕗味噌を舐めたがる子よやめておけ/ゴジラ来よ人は呆けて街灼けて/もう泣かない電気毛布は裏切らない シンゴジラ観たのかな…(笑)2021/09/30
Э0!P!
3
リズムが5・7・5じゃない句が多くて受け付けにくい句も多かったが、情景が思い浮かぶ句が多くて好みだった。2023/10/18
せっか
3
「水脈も葉脈も春てのひらも」「くちづけは一秒サイネリア全部咲いた」2021/05/12
Cell 44
3
「天国に図書館あるか青葉騒」「化石にも心臓ありぬ夜の薔薇」「道が野にひらけて兎いま光」「そうそれは虹見るまなこ波聴く耳」「星の香の柚子をもぐ逢いたかったよ」どの句も新鮮に響いてくる。長いカタカナの語彙、口語の積極的使用、ときに季重なりや季語の並置なども惜しまず、長い字余りの句や句跨りの韻律など、技巧に満ちながら技巧のみに響くところが本当に少ない。2021/03/10