感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
35
今という時代の社会の一片を、いろいろな角度から切り取った句集。作者の視点の多様性が素晴らしい。果たして、今の時代はいい時代なんだろうか?社会の在り様が問われていると思う。そんな中で、身近な句も多く、思わずそうそうと思う。2020/08/02
pirokichi
13
〈じゃんけんで負けて蛍に生まれたの〉の作者・池田澄子さんの第七句集。2020年6月発行。2021年第72回読売文学賞詩歌俳句賞、第21回現代俳句大賞受賞。〈蘖や言葉のように待っていた〉〈胸に入る空気春です春ですと〉〈偲んだり食べたり厚着に肩凝ったり〉〈送り火のほら燃え尽きる燃え尽きし〉〈生き了るときに春ならこの口紅〉口語体で明るく一見軽いのに胸にずしんとくる句が多い。〈相談のはじまる前の葛ざくら〉は、歳時記に掲載されている〈相談の結果今日から夏布団〉に続く、相談シリーズ!と勝手にうれしくなった。2021/02/12
peace land
4
柔らかくて鋭くて、いろいろな感性を持っているのがことばになっている。戦争に対する70年思い持ち続けたい。2022/05/03
豆ぐみ
4
2020年、朔出版刊。著者の第七句集。特に好きな句は〈初蝶来今年も音をたてずに来/夕霞壊れた原子炉の方向/胸に入る空気春です春ですと/俗情に浜昼顔の関与あり/牡丹雪大人ですから黙ってます/千代紙で鶴など折るな夏は暑い/なきがらや雨戸を繰ると花の朝/木下闇ときどき亡夫がこちら見る/自ずから熟れて傷んで匂って桃/迎え火に気付いてますか消えますよ/次の世は雑木山にて芽吹きたし/ショール掛けてくださるように死は多分〉などなど。(新刊句集なので抜書きは少なめにしています。)2020/06/18
まみ
3
拍子を開くと真っ赤な見返し、花布もスピンも赤でどきっとした。花冷えのこころが体を嫌がるの/花ふぶき体がこころを捨てたがる/まだ待てるこのマフラーは厚いから/可燃ごみの袋に透けて我がマフラー/箸置きや冥途も年を越すかしら/自ずから熟れて傷んで匂って桃/鳩よ寒いでしょ舗装道路固いでしょ2023/01/30