内容説明
教育の権力性を前提としつつ、自律的な主体形成はいかにして可能となるのか。矯正教育の現場である少年院と、社会生活への移行の場である更生保護施設での参与観察やインタビュー調査を手がかりに、法務教官や施設職員と少年とが協働して、“変容の物語”を創出し再構成していくナラティヴ実践の様相を描き出す。
目次
序章 本書の概要
第1章 矯正教育における「教育」の含意
第2章 矯正教育理論における言語化実践の位置づけ―矯正教育の戦後史から
第3章 矯正教育実践を読み解く手がかりとしての「ナラティヴ」
第4章 矯正教育における「規範」
第5章 ナラティヴ実践における調停/調整―葛藤の肥大化に対する解決・緩和戦略
第6章 物語生成における矯正教育の役割―創作オペレッタに見る“教育的行為としての物語化”の技法
第7章 更生保護施設における教育的介入のイデオロギー―矯正教育における“変容の物語”のその後(1)
第8章 困難を契機とした“変容の物語”の再構成―矯正教育における“変容の物語”のその後(2)
終章 自律的な主体への変容に向けたナラティヴ実践
補論1 法務教官研究への示唆―教師研究としての「法務教官」
補論2 ナラティヴ実践の学校教育への応用可能性―教育学研究への含意
著者等紹介
仲野由佳理[ナカノユカリ]
2011年3月、東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科満期退学、2022年11月、博士(教育学)(日本大学)。現在、日本大学文理学部、日本女子大学、東京外国語大学非常勤講師、公益財団法人矯正協会矯正研究室特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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