内容説明
人々の分断や対立、人生の不自由さや息苦しさはどこから生まれるのか?「いつか訪れる死への恐怖」に対する人間の心的防衛メカニズムから、人間と社会に広がる生きづらさを読み解く。
目次
第1章 死の恐怖から人間の行動を理解する―存在脅威管理理論
第2章 自己についての幻想
第3章 なぜよそ者を排斥するのか?
第4章 なぜ一人になるのを恐れるのか?
第5章 公正さに潜む落とし穴
第6章 母性愛神話を考える
第7章 伝統という幻想―なぜ昔はよかったと思ってしまうのか?
第8章 よりよく存在論的恐怖とつき合うために
著者等紹介
脇本竜太郎[ワキモトリュウタロウ]
2007年、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学、博士(教育学)。現在、明治大学情報コミュニケーション学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
木麻黄
5
死への恐怖に対する反応から、人間の社会的行動を読み解こうとする理論です。予備知識がほとんどない中で読んだのですが、読みごたえがあり、益するところ大でした。大きい話で言えばコロナ禍、卑近な例で言えば花さん中傷事件等、集団暴走を理解する上で、面白い視点が得られると思います。章立ては、自己、よそ者排除、孤独、公正、母性、伝統等であり、これらの社会的行動が、ある種の幻想によって支えられていることを、実証的研究も交えながら、紐解いていきます。社会心理学系は、使われる用語もなじみ深いものが多く、単純に面白いですね。2020/05/29
yurari
1
存在論敵恐怖=ある種の死の恐怖。この恐怖が人間の困った考えや行動に結びつくメカニズムを説明する枠組みを存在脅威管理理論というらしい。もう少し平易な表現にならなかったのか…全体的に内容がとっちらかっている印象だが、様々な研究結果が紹介されていて興味深かった。●一度思考を抑制することで抑制していた対象が浮かびやすくなる●自尊感情を求めることそのものが自尊感情を不安定にする要因→自尊感情を追求するという目標を他者や社会を含んだ別の目標に置き換える●江戸しぐさは史実ではなく作り話(この話、衝撃だった😱)2022/03/01
新橋九段
1
社会心理学の入門としてはいいが、存在脅威管理理論がメインになってなくない?2020/03/27
Go Extreme
0
存在脅威管理理論:心的防衛メカニズム 存在論恐怖:死の認識から生まれる恐怖→社会の息苦しさや生きづらさ:解決・回避の可能性なし 直接的な防衛:考えないようにする 象徴的防戦:不死を信じる=直接的不死・象徴的不死 ポジティブ・イリュージョン:非現実的に肯定的な自己評価・コントロール幻想・非現実的楽観主義 高くて不安定な自尊感情→防衛性・助けを求めず 潜在的自尊感情 公正世界理論:その人がふさわしいものを手に入れる公正な場所 最終的公正信念:長い目でみればバランス 公正さの基準:衡平基準・平等基準・必要性基準2020/02/15